LSEサマースクール体験記 2022年度

経済学部 経済学科 PDP6期生(2020年4月入学)
東京都立武蔵野北高等学校出身
■留学先大学:London School of Economics and political science
■留学期間(現地滞在期間):2022年7月~8月
私は、PDP(パラレル・ディグリー・プログラム)に所属しており、武蔵大学においてロンドン大学のカリキュラムを受けさせてもらっています。かねてより、一度は海外留学を通じて、海外である程度の間一人で生活してみたいと考えていました。また、LSE Summer Schoolは、PDPコースの御大である、イギリス、ロンドンのLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)のキャンパスで授業を受けることができるため、このチャンスを逃すまいと思い、約三週間と短期ではありますが、挑戦することにしました。

サマースクールにおいては、100番台のコースである、Marketingを履修しました。コースは、午前の1時間半のクラスと、午後の3時間のレクチャーに分かれていました。
まず、レクチャーでは、そのコースに参加している生徒全員が大講義室において、教授による講義を受けます。教授が生徒に意見を求めることが多々あり、分からないことがあればすぐさま質問することができ、双方向型、問答型な講義でした。講義内容としては、実際の企業や商品を例に挙げながら、マーケティングにおけるフレームワークや分析の方法などを学びました。
クラスというのは、そのコースにおける生徒を1クラス15人ほどのグループに分けたものです。クラスでは、毎日ひとつずつ出される、実際の企業やイベントに関する資料(約10ページ~20ぺージ)を予習したうえで、レクチャーで学んだ知識を活かしながら、問題解決をします。基本的にディスカッションが中心であり、クラスメートの意見を交わしより理解を深めていくものでした。
評価方法は40%がコースワーク、60%が最終試験に分かれていました。コースワークはクラスメートとのペアワークによるもので、クラスで取り扱った事例を一つ選んで、その問題について授業をもとに解くというものでした。2人で一つの課題を作成するため、理解がより深まりました。もう一方の試験は、オープンブック尚且つtake home exam形式でした。マーケティングを実際に使うときは色々な情報を用いて行うため、暗記は必要なく、持っている知識(フレームワークなど)を用いて最大限問題に対応するという形式でした。PDPのPoliticsやBusiness and Management in a Global Contextの試験のような基本エッセイタイプのものですが、図や箇条書きなどが容認されており、とにかく明確に伝えることを必要とされました。

100番台のコースとはいえ、周りの生徒は全員ネイティブと遜色ない言語能力を有しており、とてもレベルの高い環境でした。他の英語圏の大学に通いながら、夏休みだけこのコースに参加している人が多数でした。私にとってはとても大変で、毎日図書館や寮で予習、復習をかなり綿密にやることで、やっとの思いでついていけるというものでした。特にクラスにおけるディスカッションは、しっかりとした準備をしないと、意見が言えないため、個人的にはなかなかタフな日々となりました。ただ、ディスカッションを通じて様々な意見が交わされるため、より実践的で使える知識が身につくものだったと思います。また、図書館はとても広く、大量の蔵書とPCがあり、自習環境としては申し分ない設備が整っており、多くの学生と同じように遅くまで自習に励みました。

寮はLSEの所有しているSidney Webb Houseの一人部屋を借りました。トイレシャワーは部屋についており、キッチンとコインランドリーは共同スペースを使うことができるため、困ることはほとんどありませんでした。キャンパスで朝食をとることができるため、朝は約20~30分かけてバスで登校し、授業を受け、自習をした後、徒歩約40分を様々なルートで観光しながら帰宅していました。ロンドン市内はすべて歩いて回れる距離にあるため、ただ歩いて街並みを楽しむもよし、博物館や観光スポットを訪れるもよしといった感じで、とても楽しい毎日でした。「ヨーロッパも異常気象により深刻な猛暑」などという現地のニュースも見ましたが、日本に比べると湿度が圧倒的に低く、とても快適でした。早朝に関しては肌寒いくらいでパーカー一枚あると非常に便利です。コロナに関しては、観光客がたまにマスクを着けているくらいで、コロナの存在を忘れてしまうほど、コロナ前の日常が戻ってきたような状態でした。また、日本と異なり、本当にすべてがカード決済で済んだため、そういった日々の小さなところでも、文化の違いを感じました。ただ、もともとロンドンは高いことに加え、円安の影響も重なり、物価が非常に高く、食費をはじめとする生活費はとてもかさみました。

土日や、平日の授業後にはサマースクールの主催するイベントが多々あり、特に、テムズ川のサンセットクルーズでは、きれいな景色はもちろんのこと、そこで知り合った、他の留学生と意気投合することができ、とても貴重な経験を得ることができました。サマースクール以外には、個人的にサッカーが好きな為、本場であるプレミアリーグの試合を観戦しました。日本とは比べられないような熱気と歓声、一体感は圧巻でした。だいぶ早くスタジアムに到着したため、近くにいた現地のサポーターの人とも交流を深めることができ、とても素晴らしい経験となりました。

イギリスはもちろんのこと、中国、台湾、シンガポール、インド、アメリカ、フランス、イタリア、スペインなど様々な国の人と関わることで、文化や考え方の違いを実感することができました。また、その違いを実感することで、日本の良いところや悪いところをより深く考えるきっかけになりました。周りの生徒の、学びに対するモチベーションや、取り組み方は本当に素晴らしいものばかりで、今後自分自身もっと向上させていかないといけない、と痛感しました。正直なところ「言語の壁」というものを感じることもあったため、なおさら、英語がしっかりと使えることで、こんなにも世界が広がるのか、と感じました。約三週間の短期留学ではありましたが、大変濃密でハードな、これからの自分にとても重要なきっかけを与えてくれる貴重な経験となったと思います。