社会学専攻 研究クローズアップ
自由な未来を拓くため「常識」の裏にある格差を捉える
【研究】教育現場と労働市場が絡み合うジェンダー問題
日本の4年制大学進学率の男女比は、先進国のなかでも特殊な傾向を持っています。他の先進諸国は女性の方が高学歴な社会を迎えている一方で、日本だけが男性の方が高いまま。このジェンダー・ギャップの背景にはさまざまな要因がありますが、その多くは「能力の高い女性が正当に評価されない」という社会構造が関わっています。例えば、学校の校長先生というと、男性を思い浮かべる人が多いでしょう。リーダー層に男性が多い場合、それを見た子どもたちが「リーダーは男性が担うもの」と考え、自らの進路選択を左右することになるかもしれません。これを「隠れたカリキュラム」といい、学校教育を通じて社会のステレオタイプや偏見が再生産される点が課題と捉えています。これらは、教育分野の働きかけだけでは解決できない問題です。大学で能力を磨いた女性が、卒業後に自らに見合った働き方やキャリアの機会を十分に得られていないという、労働市場の問題にアプローチする必要があります。ジェンダー・ギャップを是正していくことは、女性のためだけではありません。男女の偏りなく、多様な属性の人々がともに学び、ともに働くことで、社会としての持続可能性も高まるでしょう。
ここ十数年ほどは、アメリカへ移住した女性たちを対象に、移住のきっかけや、移住後の相互支援に着目したインタビューも行ってきました。話を聞いてみると、日本から移住した女性のなかには自らの能力や学歴に適した仕事を得られなかったことや、「結婚して安定した家族を築く」といった役割を過度に期待される家族関係から脱出するために、移住を決めた方もいることが分かりました。ジェンダーの社会学は、国際的な人口移動のように規模の大きな問題にもアプローチできる学問分野なのです。
ここ十数年ほどは、アメリカへ移住した女性たちを対象に、移住のきっかけや、移住後の相互支援に着目したインタビューも行ってきました。話を聞いてみると、日本から移住した女性のなかには自らの能力や学歴に適した仕事を得られなかったことや、「結婚して安定した家族を築く」といった役割を過度に期待される家族関係から脱出するために、移住を決めた方もいることが分かりました。ジェンダーの社会学は、国際的な人口移動のように規模の大きな問題にもアプローチできる学問分野なのです。
【ゼミ】「常識」を疑うための論理的思考力を養う
ゼミでは、ジェンダーにまつわる現代社会の諸現象について、学生たちがユニークな視点で学びを深めています。例えば、女の子のキャラクターにはまつげが描かれ、男の子のキャラクターには描かれないのはなぜかといったメディア表象におけるジェンダー構造について。子育中の母親や父親にインタビューをして、育児の負荷や夫婦間分業の発生構造を探っている学生もいます。3年次は、論文を読み込んで知識の土台を作り、興味のあるテーマの先行研究を収集する期間です。4年次には、自らテーマを設定して卒業論文に着手。12月に実施する3・4年合同ゼミで、4年生の卒業論文発表会を行い、3年生が今後執筆する上でのヒントを得られる機会を設けています。
社会学の基礎は「常識を疑うこと」です。学生には、現代社会に埋め込まれたジェンダー構造、つまり、性別によって役割や立場が規定されている仕組みに気づく力を身につけてほしいと考えています。多様化が進み、現代の若者たちは格差を感じる経験がなかった人も多いでしょう。しかし、大学を卒業した後、就職や結婚、出産といったさまざまなライフステージを経るなかで、自分の生き方を阻む壁に直面するかもしれません。その時、感じる困難は、決して自分の能力や努力不足によるものではなく、社会の仕組み・構造によるものだと気づける力を持ってほしい。だからこそ、社会問題を見つけて論理的に考察するための知識やスキルを身につけてほしいと願っています。
社会学の基礎は「常識を疑うこと」です。学生には、現代社会に埋め込まれたジェンダー構造、つまり、性別によって役割や立場が規定されている仕組みに気づく力を身につけてほしいと考えています。多様化が進み、現代の若者たちは格差を感じる経験がなかった人も多いでしょう。しかし、大学を卒業した後、就職や結婚、出産といったさまざまなライフステージを経るなかで、自分の生き方を阻む壁に直面するかもしれません。その時、感じる困難は、決して自分の能力や努力不足によるものではなく、社会の仕組み・構造によるものだと気づける力を持ってほしい。だからこそ、社会問題を見つけて論理的に考察するための知識やスキルを身につけてほしいと願っています。
中西 祐子 教授
お茶の水女子大学大学院(博士後期課程)人間文化研究科修了・博士(学術)取得、お茶の水女子大学助手、スタンフォード大学客員研究員、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員などを経て、2014年より現職。専門は教育社会学、ジェンダーの社会学。
- 他の専攻の研究クローズアップも見る