社会学科 ゼミの学び

いつも食べているコンビニ弁当。作った人の国籍を意識したことはある?

社会学科ゼミの学び
グローバリゼーションの社会学(社会学専門ゼミ1・2)

人の越境移動が広まるなかで生じる問題に目を向ける

私たちの周囲には多様な背景を持って日本に移住してきた「国際移民」がいます。家に届く宅配便を仕分けしたのも、身近なコンビニ弁当を作ったのも、実は外国から来た労働者たちかもしれません。
労働移民、政治難民、高技能移民などと呼ばれる彼らのなかでも、近年顕著に増えているのが女性の労働移民です。母親が海外に出かせぎに行くことが増えています。彼女たちは、先進国でベビーシッターや家事労働者、介護労 働者として働いていて、日本の老人ホームや介護施設でも東南アジアからの女性移民が多数働くようになりました。
移民をめぐる問題については、労働移民や女性移民の低賃金や虐待といった移民受入国での労働環境が問題視されることが多いですが、移民の出身国まで思いを巡らせてみると、祖国に残してきた子どもたちは母親不在という状 況下でどのように暮らしているのかといった問いも生じてきます。また、移民による海外送金、在外投票、二重国籍など移民を送り出す国と受け入れる国の両方に関わる問題も広まっています。
学内に目を向けても、海外にルーツを持つ教員や友人も多数います。まずは身近なところから意識してみることで、世界について考え、想像を広げてほしいと思います。
社会学科ゼミの学び

グローバルでローカルな 世界のつながりを意識する

ゼミでは、国際移民という「人の越境移動」にまつわる現象を主なテーマとしていますが、これは国境を越えて人が移動する「グローバル」な問題にとどまらず、多様な背景を持つ人々が共生できる社会をいかに実現するかという「ローカル」な問題でもあります。広い視野を持つことで、学生たちには私たちが暮らす日本を含め、互いに遠く離れた国や社会で生じる出来事が深くつながっていること、そのつながりが近年ますます深化・拡大していることを理解 してほしいと考えています。
またゼミでは、話し、聴き、討論することで他者に自分自身の考えをしっかりと伝える力を養うことを大事にしています。大学の授業で得た知識はいつか必ず「古く」なってしまいます。知識や情報を比較・相対化し、抽象的・具体的な事象との関連づけを意識しながら、常にアップデートできるようになってください。「答え」ではなく、「答えの出し方」を身につけてほしいと考えています。

人見 泰弘 准教授

人見 泰弘 准教授
北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。同研究科専門研究員、名古屋学院大学国際文化部国際協力学科准教授などを経て、2019年より現職。専門は国際社会学、移民・難民研究、グローバリゼーション。