経済経営学専攻の学び
コメに高い関税を課す理由を数式を用いて考察する
貿易論と国際金融論を理論モデルを用いて理解
国際経済学は、外国と経済的につながることで一国の経済にどのような影響があるのかを学ぶ学問で、貿易論と国際金融論に分かれます。貿易による利益や貿易政策などについて学ぶ貿易論では、ミクロ経済理論のモデルを用いて「なぜ貿易を行うのか」「なぜ貿易を制限するか」を考察します。たとえば、日本はコメに高い関税を課していますが、外国が日本と同質のコメを安く生産できるなら、関税を撤廃して安く輸入したほうが消費者にとってはありがたいはずです。そして、コメより日本が優位性を持つ自動車などの財(モノやサービス)の生産に注力したほうが日本が豊かになる可能性があるのに、関税の引き下げに反対するのはなぜでしょうか。
一方の国際金融論では、通貨や為替レートについて、マクロ経済学理論のモデルを用いて考察します。日本などの先進国では、為替レートが市場の需給で決まる変動相場制を導入することで金融政策の自立性を保っています。しかし、日米の金利差が拡大して急激な円安が進む日本で、本当の意味で金融政策の自立性が保てているといえるのでしょうか。
現実の経済のなかでも特に重要な要素を抽出し、経済変数の関係を数式で表したものを理論モデルと呼びます。国際経済学ではこうしたモデルを枠組みとして分析・考察していきます。
一方の国際金融論では、通貨や為替レートについて、マクロ経済学理論のモデルを用いて考察します。日本などの先進国では、為替レートが市場の需給で決まる変動相場制を導入することで金融政策の自立性を保っています。しかし、日米の金利差が拡大して急激な円安が進む日本で、本当の意味で金融政策の自立性が保てているといえるのでしょうか。
現実の経済のなかでも特に重要な要素を抽出し、経済変数の関係を数式で表したものを理論モデルと呼びます。国際経済学ではこうしたモデルを枠組みとして分析・考察していきます。
世界水準の講義を通して経済学的考え方を習得する
PDPの「International Economics」の授業では、ロンドン大学が作成したサブジェクトガイドや洋書の教科書に基づいてカリキュラムが組まれています。国際経済学では世界中で最も使われているテキストの原著を用いて、貿易論、国際金融論それぞれの理論モデルを学ぶ講義が中心となります。
試験では、現実の経済事象を理論モデルを用いて数学的に解き、そのモデルにより説明することの妥当性を考察したエッセーを書かなければなりません。もちろん、すべて英語です。私はアメリカの大学でも経済学を教えていましたが、「学部生でここまで」と思うほどロンドン大学・LSEの要求水準は高いものです。
グローバル化の今を生きる私たちにとって、現実の経済や政策を理解するためにも国際経済学の知識は不可欠です。その上で貿易論と国際金融論それぞれで中心となる理論モデルについて学び、さまざまな経済事象にどのモデルが当てはまるかを説明する。その訓練を繰り返していくことで、経済学的なものの考え方を身につけてほしいと考えています。
グローバル化の今を生きる私たちにとって、現実の経済や政策を理解するためにも国際経済学の知識は不可欠です。その上で貿易論と国際金融論それぞれで中心となる理論モデルについて学び、さまざまな経済事象にどのモデルが当てはまるかを説明する。その訓練を繰り返していくことで、経済学的なものの考え方を身につけてほしいと考えています。
鈴木 唯 教授
東京大学経済学部卒業。日本輸出入銀行、国際協力銀行での勤務後、ミシガン大学Ph.D.(経済学)取得。Seton Hall University 助教授、武蔵大学経済学部准教授を経て、2017年より現職。専門は国際経済学、開発経済学など。