サイエンスラボ講座(化学)

「ことば・うごき・もの」— 化学の面白さ

化学の魅力を実体験するサイエンスラボ講座(化学)の授業風景
化学の魅力を実体験するサイエンスラボ講座(化学)の授業風景
人間の知的活動は、「ことば」・「うごき」・「もの」によって表現されているように思います。この中で、化学は「もの」と深いつながりを持った学問の領域です。「もの」をどのように利用して自らの意志を表現するかは、文明の始まりにもつながる人間の営みの中核を成すものです。近現代に至って、「もの」について人間が経験してきた様々な知識を体系化することに成功しました。これが化学です。この学問分野は、自然理解としての「もの」の存在の本質を解き明かして「分析」するだけではなく、人類に未知なる物質を新規に創造する「合成」という重要な応用分野を含んでいます。この世に存在する、あるいは、存在するかもしれない全ての「もの」を対象に、「分析」と「合成」の両輪で知的チャレンジを展開する所に、化学の魅力があるように思います。

「現代社会と化学」— 分析・合成が変える生活と社会

現代にあっては、「合成」された物質は日常生活の中で利用する日用品や電機製品などに当たり前に使われています。「合成」は化学という学問体系の中の話だけではなく、現代生活そのものを支える技術となっているのです。そして、「分析」に基礎を置いた物質についての知識体系は「合成」技術を支えるものとなっています。化学は自然理解のための基礎学問の側面とともに、人間の意志をかなえる「もの」づくりの基盤技術ともなっているのです。

実験で体験する化学 —「サイエンスラボ講座(化学)A・B」

サイエンスラボ講座(化学)で合成した人工染料
サイエンスラボ講座(化学)で合成した人工染料
化学の特徴は、「もの」の世界を人間が意図を以て創造しえる所にあります。実際に「もの」の変化を起こし、別のものに変えていくことを体験する「実験」は、現代文明と「もの」とのつながりを考える上でも面白い経験になるはずです。

サイエンスラボ講座(化学)A・Bは、「分析」・「合成」・「生活の中の化学」という視点から設けられた様々な実験種目で編成されています。「分析」の代表例は、サイエンスラボ講座(化学)Aの「無機イオンの反応」が挙げられます。数回にわたって、様々な物質を混合した時に起こる化学反応を観察し、その結果に基づいて、未知試料に含まれる成分を推定します。一方、「合成」の代表例はサイエンスラボ講座(化学)Bの「染料の合成」でしょう。歴史的にも著名な染料の合成を通じて、天然染料にはない多様な素材を合成することが社会にどのような影響を及ぼすのかを考えるのも良いかもしれません。

「分析・合成・現代生活」のコンビネーション

サイエンスラボ講座(化学)で再現した草木染
サイエンスラボ講座(化学)で再現した草木染
「生活の中の化学」について体験する種目も用意されています。「環境放射線測定」、「食品中の塩分測定」、「草木染」(右写真)、「ガラス細工」などです。現代生活の様々な側面に、化学の応用としての「分析」・「合成」の技術が利用されていることが体験できるはずです。

21世紀の世界は科学技術の展開に大きく左右されていくことでしょう。文理分離型の思考体系ではついて行くことが出来ない時代を迎えようとしている今、「文系だから科学」、「理系ならば文化」ですよね。