外国語学習の手引き
武蔵大学の外国語教育
外国人と自由に英語が話せるようになりたい。これまで長いあいだ英語を学んできた皆さんの多くがそうした気持ちをもっているのではないでしょうか。
あるいは、テレビや映画のなかで英語圏以外の国の景色や人々を見ているうちに、その国を旅したい、あるいは住みたいと思ったことのある人も少なくないでしょう。
外国語を話すこと、外国を旅すること、あるいは外国に住むこと。こうしたことはあなたという人間の可能性を大きく広げる体験となります。いや、これではなんだか当たり前に聞えてしまいますね。ちょっと大げさに言いましょうか。よく外国語を「身につける」という言い方をしますが、外国語を習得するということは、あなたの身のうちにもうひとつの文化、すなわち異文化が育つことにほかならないのです。
たとえば海外から旅行や留学をして日本に帰ってきた人は、自分の母国から「カルチャー・ショック」を受けることがあります。それはその人にもうひとつの文化が浸透し、そのもうひとつの文化の視点で日本を見ることになるからです。これは体験した人でないとわかりませんが、かなり面白いことです。しかもそうした視点は一度身につくと、消えることがありません。いわば一生のあいだ「複数の視点=複眼」を持って生きていくことになります。
「異文化が育つ」って、なんだかやたら大変そうに聞えますが、実はそうではありません。まずは「カタコト」からスタートすればいいのです。ただそのカタコトは自分の口のなかでモゴモゴ言うだけではいけません。先生でも同級生でもいいですから、必ず聞き手に向かって相手に聞えるように発音してみましょう。そして「通じる」ということの面白さを味わってください。あとはその積み重ねなのです。大学の授業で必ずおこなわれる文法の学習も単語の習得も、「通じる」ことを可能にするための手続きと思えばわくわくしながら学んでいけるはずです。
さて皆さんは、英語をのぞけば、ほとんど白紙の状態から外国語を学ぶことになります。まずはこの「外国語学習のてびき」に目を通しながら、自分は武蔵大学でどの外国語の学習にカを注いでみたいか、よく考えてみてください。選択できる外国語、あるいは履修しなくてはならない外国語は学部学科ごとに違いますので、「各学部の外国語授業」の説明もよく読むようにしてください。
それから武蔵大学には皆さんの外国語の学習をサポートするためのさまざまなプログラムや施設があることを知っておいてください。まず知っておいていただきたいのが、全学部の1~2年生を対象にしたTOEIC®L&R IPテスト(学内試験)です。皆さんの英語学習のひとつの目標にしてもらうとともに、試験の結果によってどの程度英語力がついたかを知ってもらえればと思っています。
さらに1号館3階にはMusashi Communication Villageという外国語と異文化の体験的学習スペースがあります。ここでは、正課授業では難しい数名程度の少人数英会話レッスンや、英語をはじめとする外国語のアクティビティ、各種イベントなどが提供されており、前述の「通じる」体験を実際に身をもって体験し、それによって外国語と異文化への理解を深めていくことができます。
こうしたサポートを十分に利用しながら、自分を楽しく変えてゆくことを目指して、外国語を「身につける」ことに挑戦してみてください。