教員養成の質向上のための取り組み

 教職課程登録前の1年次生を対象とする「教育の基礎的理解に関する科目」では、受講生が教職への適性および力量について判断するとともに教職課程での学修において必要な基礎固めを行うことを目標としたカリキュラム編成を行っています。
 そのうえで2年次以降では、履修学生が、深い人間理解と広い視野からの自然と社会への認識を基盤として、自ら問題意識をもって新しい教育実践を拓く創発の精神をもつよう授業を構成しています。また、社会性涵養の視点から、学生の自治活動などの質的向上も重視しています。教職課程でのこうした経験は、各学科における特色あるゼミナールや卒論研究など、専門教育での学修との相乗効果によって、個性あふれる教職課程履修学生の輩出に寄与しています。
 3、4年次における教育実習等の実践系授業科目では、学生が取得希望の免許教科ごとに展開されるクラスで互いに模擬授業を行い、同僚的集団における省察を通じた学びを経験し、授業実践についての理解を深めるとともにその質を向上させられるようにしています。
 教職課程全体を通じては、履修学生が、所与の知識の配達人となるのではなく、与件そのものを問い直しつつ新分野を拓く自発性と先進性をもって教育界と社会に貢献する人となるよう、「自ら調べ自ら考える」ことを促進する授業を展開しています。参加型の活動と省察の機会を多く提供し、こうした授業展開が可能となるよう、少人数のクラス編成を行っています。
 また、実践的精神にあふれた教員を養成するべく、教職課程の授業科目は、現場経験の豊富な優れた教育実践者にも担当を依頼しています。さらに、実践指導員制度、研究協力者制度を設け、現場経験の豊かな優れた現職教員および教員経験者にモデル授業の実施や学生の行う模擬授業の指導などを依頼しています。学生のキャリア形成においては、同窓会組織との協働のもと現職教員や教員経験者から助言や指導を受ける機会を提供しています。なお、新しい取り組みとして、2019年度からは、山梨県で二泊三日の夏季合宿を実施し、地元小中学校の児童生徒、教員らと交流しながら、学校を取り巻くグローカルな課題に取り組んだり、教職課程を修了した卒業生と交流しながら自らのキャリア形成について考えたりする機会をもちました。
 このように、教職課程における学びは、「知と実践の融合」という本学の理念や、「自ら調べ自ら考える」力の向上などの本学の教育の基本目標にも適合したものとなっています。教職課程における教育を通じて、まさに、こうした理念や目標に適う学生を育てているのです。