本学における教員養成の理念と目標

 武蔵大学の前身は、「人間形成を根幹に、明日の新しい日本を担う、優れた人材を育てる」という目標を掲げ、大正デモクラシーの渦中に「三理想(東西文化融合、世界雄飛、自調自考)」の精神に立脚して建学された日本初の七年制高等学校である旧制武蔵高等学校です。その後、1949(昭和24)年の学制改革に際して武蔵大学が開学され、現在では4学部9学科の総合大学となっています。
 武蔵大学では、上記の学園建学の精神(三理想)に基づき、21世紀の新たな時代と社会において大学に求められる知の創造、継承と実践をめざし、「知と実践の融合」を理念として定めています。この理念を達成するため、①自ら調べ自ら考える(自立)、②心を開いて対話する(対話)、③世界に思いをめぐらし、身近な場所で実践する(実践)の三つを教育の基本目標として掲げ、これからの社会を支え発展させうる「自立した活力ある人材」を育成しています。さらにグローバル化、ボーダレス化が急速に進む今日においては、「異文化を理解し未来を創造する教養あるグローバル市民の育成」にもとりくんでいます。
 武蔵大学教職課程は、1957(昭和32)年に設置され、現在、中学校・高等学校にわたり8教科の教員免許の認定を受けています。教職課程における教育は、当然ながら、本学の理念と不即不離のものとして構築され、同時に開放制教員養成の理念に基づき、地球的視野に立った幅広く深い教養、学問的精神に充ちた専門的な知の力、優秀な社会人としての力をもった学生を育成することを目的としています。
 この目的を達成するため、教職課程では、第一に、専門教育の成果をもとにした深い教養と学問的素養の修得を促しています。それらを基盤とすることで、カリキュラム開発を含めた教職の専門性が担保されます。第二に、地球的視野と異文化理解を主軸にすえたコミュニケーションの力を育成しています。言語と情報の教育がその基盤となります。第三に、子ども、学校、地域に根ざした臨床的実践力を育成しています。閉じられた知の体系の習熟ではなく、社会との関わりのなかで主体的かつ探求的に学ぶ経験の蓄積が、臨床的実践力の基礎となります。