2025年度の活動報告

活動の実績

2025年度ジェンダー・ダイバーシティ研究会は、5回の研究会をおこなった。
 
第1回研究会は、5月29日に、山内萌先生(大妻女子大学ほか非常勤講師)をお招きし、「性的自撮りが可能にする「見せる主体」 ——裏垢女子をめぐる視覚文化論的研究」というテーマでご講演いただいた。自ら性的なイメージの自撮り写真をソーシャルメディアに投稿する、いわゆる「裏垢女子」たちへのインタビューおよび参与観察を通じて得た山内先生の博士論文の成果をもとに、彼女たちが自撮りを通して「イメージとしての身体」を主体的に提示するあり方を、メディア史的観点から考察するとともに、現代の推し活との関連性にも着目しながら分析を行っていただいた。
 
第2回研究会は、10月31日に井上太一先生(翻訳家)をお招きして、ビーガニズム、エコロジー等とフェミニズム思想の関連と歴史についての発表を戴いた。第一波フェミニズム以前におけるフェミニストによる動物保護、第二波フェミズムと菜食について、またエコロジカルフェミニズムとの関係などの論点から、ビーガニズムの思想、歴史、実践等について多角的に講演いただいた。
 
第3回研究会は、11月17日にオンラインで行われた。ロートミュラー・バーバラ先生(ジークムント・フロイト私立大学ウィーン、シニアサイエンティスト主任研究員)をお招きし、「性的ダブルスタンダード:異性愛女性およびLGBTIQA+マイノリティの性的欲望の病理化」についてのご講演をいただいた。同じレベルの性的欲望であっても、男性・女性・ジェンダーマイノリティが異なる評価を受けるという伝統的なセクシュアル・スクリプトはいまだに根強く存在していることに焦点化し、オーストリアの社会文化的文脈における性的ダブルスタンダードに関する調査結果を紹介し、性的マイノリティにどのような性的行動が期待されているのかが分析されていた。
 
第4回研究会は、2026年3月17日、亀田温子先生(十文字学園女子大学名誉教授)をお招きし、「女性に対する暴力への気づき!DV防止法を作った女性たちとは!」について、亀田温子先生に「『AKK女性シェルター』から『DV防止法』制定へ」DVDの作成に至る経緯と、シェルターができた経緯、またDV防止法が制定される過程等をお伺いし、DVDの上映をおこなった。これは8月から計画をおこなってきた結果、3月に上映会を実施したものである。
 
第5回研究会は、3月21日に『フェミニズムから読みなおすインターセクショナリティ基本論文集』(佐藤文香・千田有紀共編。慶應義塾大学出版会)の合評会として行われた。カントやアーレントに基づき「経験」の共通性についての視点からの指摘、さらに本全体を通して、近年のリベラリズムとフェミニズムのアポリアについての問題提起があった。近年のジェンダー理論の現状、ポスト構造主義以降のジェンダー理論の課題についての確認が行われた。11月から温めていた企画であり、メールなどで議論を重ねたあと、3月に対面で研究会を実施した。