2024年度の活動報告

                                                 経済学部 鈴木正明

2024年度の活動実績の概略

 2024年度はzoomと併用した対面で研究講座を2回実施した。

 各回の概要は次のとおりである(表1、表2、表3参照)。2024年度の研究会は地域活性化と観光との関係に焦点を当てた。

 第1回研究会には、株式会社つぎとの平山優貴氏をお招きした。同社は日本各地で古民家を活用した宿泊施設を開設し、運営している。

今回の研究会では、岐阜県美濃市についてのお話を中心に伺った。美濃市は、豊富な地域資源を活用した地域振興と関係人口の創出に取り組んでいるが、その中核を担っているのは株式会社みのまちやである。平山氏は同社の役員として、同市に所在する複数の宿泊施設の立ち上げ、運営に従事している。

 研究会では、平山氏が手がけてきた宿泊施設の概要やターゲット、運営の仕組みや魅力づくりなどに関するお話を伺った。施設の開設や運営には様々な課題を伴う。なかでも古民家の改築のための巨額の費用の確保は重要な課題であり、株式会社みのまちやが構築した独自の資金調達スキームについても詳しくお話いただいた。また、平山氏は各地で古民家活用に取り組んでいる。そこで、古民家活用を成功させる条件についてもお話を伺った。そのなかで、地域における古民家活用に向けた意欲やネットワークの有無の重要性が指摘された。地域活性化においては、地域外のプレーヤーとの協働が必要ではあるものの、同時にこうしたプレーヤーを受け入れる地域のあり方が重要であることを改めて確認できた。

 第2回研究会には、株式会社読谷ククルリゾート沖縄代表取締役会長の國吉眞哲氏をお招きした。株式会社読谷ククルリゾート沖縄は1999年に設立され、沖縄県読谷村で体験王国「むら咲むら」を運営している。「むら咲むら」は、NHK大河ドラマ「琉球の風」のオープンセットを再利用した観光施設であり、宿泊施設のほか、シーサー色付けや琉球ガラスづくりをはじめとして様々な体験を行うことのできる工房が数多く設置されている。同村の観光の核である。

 研究会では、「むら咲むら」が設立されるまでの経緯や現状などについてお話を伺った。特に注目すべきは、設立25年を経過するなかで同施設が発展を遂げてきた背景として、さまざまな情勢やニーズの変化に的確に対応してきたことである。たとえば、競合他社の出現に伴い当初のターゲットである修学旅行生の誘客の増加が鈍化するなかで宿泊施設の設置に踏み切ったこと、さらに沖縄への観光客が増加していても夜の観光が少ないことへの対応としてランタンを活用したイベントの実施などに注力し施設の魅力を高めている。地域を持続的に活性化していくためには、利用者ニーズに的確に応えていくことの重要性と難しさ、こうした困難な課題を解決する上で創意工夫を繰り返す起業家の存在が必要であることを確認することができた。

表1 コミュニティビジネス研究講座コンセプト

 

コンセプト

地域活性化が強く求められています。観光はそのための重要な手法です。そこで、今年度は、地域活性化と観光との関係に焦点を当てた研究講座を開催してきました。そのなかで、地域活性化における観光の意義と、さらに観光開発に伴う課題を研究講座への参加者に知ってもらうことを目的に活動してきました

 

表2 コミュニティビジネス研究講座の実施内容

 

日 時

タイトル(テーマ)

講 師

1

20241015日(火)

17451915

地方にあらたな人の流れを生み出すには~岐阜県美濃市での取り組み事例

平山 優貴 氏

株式会社つぎと マネージャー・みのまちや株式会社 取締役

2

20241119日(火)17451915

体験王国「むら咲むら」 地域と共に歩んだ25年

國吉 眞哲 氏

株式会社 読谷ククルリゾート沖縄代表取締役会長 

表3 受講人数

 

1

2

受講者総数

20

18

Zoom

7

5