武藏大学ジェンダー・ダイバーシティ研究会とは

グローバル化し刻々と変化する現代社会においては、従来の学問の分野の分析や役割も変容してきています。とくにジェンダーの分野においては、ジェンダーというひとつの変数のみならず、ジェンダーがどのように他のカテゴリーと関係を切り結んでいるかについて、考慮せざるを得なくなっています。
 

クレンショーは、1989年の “Demarginalizing the Intersection of Race and Sex: A Black Feminist Critique of Anti-Discrimination Doctrine においてジェンダーと人種との交差性(インターセクショナリティ)の分析の重要性を説いています。インターセクショナリティを考慮すれば、単に人種のみならず、階層、障がい、セクシュアル・マイノリティなどの他の社会集団との関連を問うことなくジェンダーの分析が不可能になっていることを意味します。現代社会においてはこうした社会分析を行うことは、最終的には「ダイバーシティ」という価値の実現にも資することになるだろうと考えています。
 

1990年代以降はとくに、グローバリゼーションの進展とともに、日本社会もグローバルな潮流とは無縁ではいられず、社会も、そしてその社会分析を行う理論も海外の動向と無縁ではいられなくなっています。必然的に研究も国際的にならざるを得ないと考えられます。
 

武蔵大学ジェンダー・ダイバーシティ研究会ではこうした日本社会や学問の置かれた現状を踏まえて、ジェンダーやその他のカテゴリーの関係を視野に入れながら、さまざまな社会問題について多角的、学際的に分析することを目標としています。その際に、多様な「当事者」の抱えている課題を調査・研究することで、理論のみならず、具体的な問題にアプローチする。最終的には、研究を踏まえて実践的な提言をすることも目的としています。
 

研究会をおこなうことで、国際的競争力のある独創的研究を推進することが可能となると考えています。また海外からジェンダーを専門とする研究者を招き、研究について講演してもらうことも計画しています。