2009年度の活動報告
今年度(2009年度)は、現地ヒアリングを6か所、講演会・講習会を4回、そして勉強会を兼ねた打ち合わせを3回行なった。
現地ヒアリングは、今までの調査・研究成果の集大成としての出版を視野に入れて行った。
過去の調査・研究を通して、コミュニティ・ビジネスにおいても、アントレプレナーシップの重要性は、一般のビジネスと基本的には変わらないという結論を得るに至った。また、成功したコミュニティ・ビジネスを描くにしても、そのビジネスの仕組みやビジネスモデルそのものを描いても、他の地域にとってはあまり参考となる情報にはならないということも、同時に明らかになってきた。
他の地域で成功した取り組みそのものを模倣することは、まず困難であり、またある中心的な役割を果たした人の偉業を知ったとしても、その中心人物を他の地域でコピーすることはできないからである。
そこで、本研究会では、現在注目されている「コト」と「ヒト」がどのようなネットワークによってつながっているのか(横糸)、そしてどのような背景で生まれてきたのか(縦糸)についてより詳しく調べることとした。
幸いなことに、今まで現地調査や講演会等などから、この問題意識に合致するような地域やビジネスの候補があることから、これらについてより深く調べていくことにしたのである。
具体的には、「2009年度活動実績一覧」に記載のとおりであるが、過去の活動の中で、ヒアリングを実施したり、講演会に招いたりするなどして、ある程度の情報のある地域の取材を中心に行った。これは、現在のビジネスを取り巻く環境やネットワーク、そこに至るまでの歴史的背景を明らかにするためには、1回限りの取材では十分にカバーできないからである。
次に、講演会・講習会であるが、こちらは、今年度から、練馬区の受託事業として実施できるようになった。本研究会の目的の一つは、練馬区を中心とした地域との関係性の強化である。その一つが、練馬区民を主に対象とした講演会等の開催であるが、その際の悩みが、集客にかかるものであった。つまり、ある一定数の聴衆を集めるための時間と労力をなかなか確保できなかったという問題があった。しかし、練馬区との連携関係が強化されたことによって、この問題は相当程度解決されることになり、本研究会の活動が大きく前進できた。今年度は、講演会1回と講習会3回を開催した。講習会の目的は、練馬区内でコミュニティ・ビジネスを始めようという人の育成であり、今後、この講習会を通して、練馬区内にコミュニティ・ビジネスの担い手が増えることを期待したい。
最後に、研究会の実施であるが、これは、5月、6月、そして10月に計3回開催した。年度の研究計画の打ち合わせ、そしてヒアリング結果の発表と共有が主な実施事項である。
来年度(2010年度)は、引き続き、出版に向けての調査・研究を行いながら、地域への関連事業としては、今年度同様に、練馬区と連携しながら、講演会と講習会を実施する予定である。
回 |
日時 |
テーマ |
主な内容 |
1 |
2009年 |
現地調査 |
全国にある地方のほとんどの商店街のように「犬と猫しか歩かない」「鉄砲を打っても死者がでない」と言われていた商店街を「昭和」をコンセプトに活性化したプロセスの取材。今回は関係者に幅広く取材を行った。 |
2 |
2009年10月4日 |
現地調査 |
NPO法人起業支援ネットは、コミュニティ・ビジネスの担い手、特に女性を対象にした、起業家育成の中間組織としては全国的にも有名な組織。創業者である代表者に対して、創業の経緯や現状に関するインタビューを実施。 |
3 |
2009年10月8日 |
講習会 |
NPO法人コミュニティ・ビジネスサポートセンター代表理事の永沢映氏を講師に、練馬区と共催で計3回の講習会を練馬区民対象に実施。 |
4 |
2009年10月24日 |
講演会 |
昭和50年頃までは、衰退の一途を辿っていた温泉が、およそ20年をかけて、全国で最も人気のある温泉になるまでのプロセスについての講演会。 |
5 |
2009年 |
現地調査 |
読谷村のむらおこし事業の中核であるテーマパークの主にマネジメント面に関する調査を実施。 |
6 |
2010年 |
現地調査 |
過去1回の取材と講演会で、現状の把握ができたので、今回は、町長をはじめ、この取組に関わっている人たちに幅広く取材を行った。 |
7 |
2010年2月23日 |
現地調査 |
長野県下諏訪町御田商店街は、街道の要衝、産業の中心地として栄えていた当時の面影をなくしつつあったが、おかみさん会の尽力や商店街にモノづくりの場を設けるなどして、活気を取り戻しつつある。そのプロセスを取材。 |
8 |
2010年 |
現地調査 |
全国各地にあるインキュベータの中でも、花巻市起業化支援センターは、数少ない成功事例として有名である。その成功は、インキュベータ設立前に、形成された花巻工業クラブや岩手大学を中心としていわてネットワークシステムと呼ばれる産学官のコミュニティの存在が大きいのではという仮説のもとで、1年前に予備ヒアリングを行なった。今回は、同じ仮説のもとで、取材対象を広げて調査を実施した。 |
9 |
2009年5月9日 |
第1回打ち合わせ会 |
年度計画の策定 |
10 |
2009年6月17日 |
第2回打ち合わせ会 |
年度計画の決定 |
11 |
2009年10月17日 |
第3回打ち合わせ会 |
途中経過報告 |