武蔵大学AIの社会浸透研究会とは

本研究会は人工知能(AI)の社会浸透に関わる諸問題に多角的なアプローチで研究する活動を支援することを目的として武蔵大学内に設立された研究会です。
 
機械学習技術は2000年代後半に深層学習と呼ばれる手法が発明され大きく進展し、その結果第3次AIブームが2010年代に起こりました。この流れの中、2020年代に生成モデルと呼ばれる技術が生み出され、大規模言語モデルをはじめとした基盤モデルが利用可能になっています。現在話題のChatGPTといった文章生成AIはこの基盤モデルがベースとなっており、そのインパクトから第3次AIブームが終焉し冬の時代を迎える前に第4次AIブームが始まったと言われています。
 
このような背景の中で、AIはこれまでのブームとは違い社会実装が2010年代後半から大きく進んでいます。一方、AIサービスシステムを社会実装(設計や開発・運用)する上での課題も明確となり、2018年に機械学習工学と呼ばれる研究分野が創出され研究成果が公開されつつあります。また、企業はデジタル変革(Digital Transformation: DX)を推進する中でAIを一つの重要な手段としてとらえています。そして、多くの企業がビジネス課題や社会全体が取り組むべき課題をAIで解決し、社会変革を起こそうとしていますが、実現する上でのハードルも多く存在する現状があります。また、このような先には誰もがAIを当たり前のように使う生活が容易に考えられます。そのようなAIが社会浸透した世界に辿り着くまでにはAIを使う側である人間が持つ思想・価値観も深く考察し、人間とAI(などの技術)の関わりについてあるべき姿を追求する必要も出てくると考えられます。
 
このように、AIの社会実装から社会変革、そして社会浸透までの過程には様々な研究テーマがあり、それは理工学に閉じたものではなく、さまざまな分野の研究者が協業して取り組むべきものも多くあります。そこで、武蔵大学内にAIの社会浸透をテーマとする研究会を立ち上げ、AIの社会浸透に関わる研究を多角的なアプローチで推進することを目指します。