2015年度の活動報告

武蔵大学経済学部経営学科 高橋徳行

1 2015度の活動実績の概略

 今年度は、大きく分けて4つの活動を行った。
 第1は、練馬区と連携して、練馬区が主催するコミュニティ関連講座の支援である。昨年度までは、練馬区の事業をコミュニティビジネス研究会が受託して、合計8回の講座を実施したが、今年度は、区の方針の変更に伴って、講座の区分替えと自主事業の増加を受けて、武蔵大学としては、新しく誕生した「『創業!ねりま塾』街から起業」の計3回の講座に関して、大学の設備を提供するなどの支援を行った。
 3回の講座の実施日、タイトル、及び参加人数は表1のとおりである。

表1 「創業!ねりま塾」街から起業の実施内容

 
日 程
内 容
第1回
9月 9日(火)
18
時30分~20時30分
アイデアを形にしよう
第2回
9月 16日(火)
18
時30分~20時30分
利益を生もう
第3回
9月 23日(火)
18
時30分~20時30分
今日から自分を好きになろう
※開催場所は、武蔵大学1号館1201教室である

表2 参加人数【創業ねりま塾】(定員30名)

実施日

9/9

9/16

9/23

参加人数

30

28

28

 第2は、コミュニティビジネス「研究」講座の実施である。この講座は、2012年度から始めたものである。研究講座は、コミュニティビジネスをより深く学習したい人やすでにビジネスを始めている人を対象に、コミュニティビジネスを取り巻く環境や周辺のホットな話題を取り上げ、関心だけある人、自分では始めるつもりはないがサポートすることに興味のある人、これから始めることを検討している人、そしてすでに始めている人たちなど、幅広い人たちを対象としていることに特徴がある。最終的な狙いは、コミュニティビジネスにかかる「コミュニティ」の形成である。そのため、研究講座は、単に講師の人が話しをして「終わり」というのではなく、最後の30分程度を、参加者同士の交流の場にあてている。
 今年度は、昨年度の6回から1回分を減らして、計5回実施した。今年度は、子育てをテーマに、さまざまな立場で、子育てのサポートを実践している人たちに講演を依頼した。テーマに一貫性を持たせてことは、良い試みであった。
しかし、反省点としては、参加者が定員割れをしていることである。今年度からは、昨年度のように練馬区を申込み受付の窓口として活用できなくなり(区報の掲載については協力いただいた)、受付窓口を始めて武蔵エンタープライズに置いた。そのことが影響したか否かは不明であるが、講座の周知活動の在り方としては課題が残った。
 各講座のテーマ等は表3、そして参加人数は表4に示した。

表3 コミュニティビジネス研究講座の実施内容

 

開催日時

テーマ

講師

第1回

平成27106()
18
30分~2030

親と暮らせない子供たちを支援する「子どもデザイン教室」の取り組み

和田隆博(特定非営利活動法人子どもデザイン教室代表理事)

第2回

1013()
18
30分~2030

子育てを大切にしながら働き続けられる社会づくり

榊原陽子(株式会社マザーリーフ代表取締役)

3

1020()
18
30分~2030

地域の子育て支援を考える~「だいじょうぶ」の取り組みの紹介~

畠山由美(特定非営利活動法人だいじょうぶ理事長)

4

1027(火)
18
30分~2030

人をつなぐ、街をつなぐ、ソーシャルデザイン地域ぐるみでこどもを育てる

松本理寿輝(ナチュラルスマイルジャパン株式会社代表取締役)

5

1110(火)
18
30分~2030

練馬ママ漫画ルーム「よんこま」の現在・過去・未来

うえきあやこ(練馬ママ漫画ルームよんこま代表者)

開催場所

武蔵大学1号館2階1201教室

表4 参加人数【研究編】(定員30名)

実施日

10/6

10/13

10/20

10/27

11/10

参加人数

20

19

18

18

12

 第3は、地域のコミュテニィをベースとする活性化の取り組みに関する現地調査である。
 今年度は3つの地域に対して、計3回のヒアリング調査を行った。
 日程、テーマ、そして主な内容は、表5のとおりである。いずれも継続調査である。昨年度終了時点は、これらの3地域については、継続調査を当面、見合わせる計画であったが、予想に反して新しい動きが出てきたので、再訪し、調査を実施することにした。

表5 現地調査の概要

日程

テーマ等

主な内容

2016
1
30日~21

現地調査
高知県四万十市
地域活性化

昨年度、報告書を仮完成した後、内容を再確認するために実施した。観光施設とするか教育施設とするかという根本的な議論が決着しない背景などを確認する。四万十市の対応の変化についての調査も実施。継続調査。

2016
2
23日~25

現地調査
沖縄県読谷村
地域活性化

地域資源を生かした活性化策をさらに発展させるために、あらたに宿泊需要に応えるという取組に関する現地調査。継続調査。

2016

311日~14

現地調査
鹿児島県奄美市
地域活性化

継続調査。シマ博の現状についての調査。臨時予算から一般予算になる中で、取組の継続に関してのさまざまな対応をヒアリング、

 第4は、WEB調査である。コミュニティビジネスの多くは、NPO法人であることから、その採算性を調べる目的で実施した。
 調査対象者の性別は表6、年齢階級の分布は表7のとおりである。主な結果については、一つだけ紹介しているが、従業員に対して世間並みの給与を支払って、かつ、いわゆる黒字を達成している割合は、全体の16.5%に過ぎず、厳しい経営の一端を確認することができた。調査では事業だけで収支を合わせているところはほとんどなく、助成金等を活用することで、黒字化を達成していた。ただ、助成金や寄付を十分に得るためには、やはり本業である事業がしっかりしていることが大前提であることも明らかになった。
 これらの結果は、今後、講座の受講生に還元していきたい。 

表6 調査対象者の性別分布

 

実数

男性

85

82.5

女性

18

17.5

全体

103

100.0

表7 調査対象者の年齢階級分布

 

実数

12才未満

0

0.0

12才~19

0

0.0

20才~24

1

1.0

25才~29

7

6.8

30才~34

6

5.8

35才~39

6

5.8

40才~44

19

18.4

45才~49

12

11.7

50才~54

12

11.7

55才~59

18

17.5

60才以上

22

21.4

全体

103

100.0

表8 経営状態

あなたが関わっている社会的企業の経営状態を教えてください。(ひとつだけ)

単一回答

実数

役員や社員に世間並みの給与を支払いながら、かつ収入が支出より多い

17

16.5

役員や社員に世間並みの給与を支払ってはいないが、収入が支出より多い

26

25.2

役員や社員に世間並みの給与を支払っているが、収入が支出より少ない

5

4.9

役員や社員に世間並みの給与を支払えず、かつ収入が支出より少ない

21

20.4

わからない

34

33.0

全体

103

100.0