2008年度の活動報告
1.活動の概略
現地ヒアリングは、活動がやや途絶えている団体を2か所、継続している団体・地域を5か所、そのうち全国的にも有名な団体・地域を3か所、全国的にはそれほど有名ではない団体を2か所選んで行なった。
また、講演会は、過去の現地調査を通じて、当研究会の趣旨に理解を示していただいた企業経営者3名に依頼した。いずれも、性格や規模の違いはあるものの、地域に根ざし、地域の問題(特産品の競争力低下、過疎化、地域資源の劣化)を解決することが、命題であったり、また活動に組み込まれたりするものであった。
これらの活動の概略は、「表 2008年度活動実績一覧」に整理した。
コミュニティ・ビジネスは、その定義から、地域の問題を解決するという「志」の重要性が強調され、もちろんこのことは否定されるべきものではない。しかし、「志」や「想い」の部分は、必要条件として欠かせないものであるが、組織が継続していくためには、リーダーには通常の経営者に求められることが求められ(時としてそれ以上のものが求められ)、またさまざまな仕組みや仕掛けが必要である。
それらが具体的に何なのかを突き止めることが、ここ数年の当研究会の一貫したテーマであった。
さらに、今年度の研究では、以上のことに加えて、何かコトを始めるには、それ以前にどのような取り組みが行なわれたのかも重要であるということがわかってきた。大きな成功の前の小さな成功、大きなことを行なう前に行なわれた小さなことを通して培われた信頼関係や人と人とのつながりの部分が、コミュニティでビジネスを成功させるうえで、とても重要であるということである。
来年度は、従来の問題意識に加えて、コミュニティ・ビジネスの「創業前」にどのようなことがあり、それが、「創業後」にどのような影響を与えたのかについて深く掘り下げたい。
回 |
日時 |
テーマ |
主な内容 |
1 |
2009年 |
現地調査 |
全国にある地方のほとんどの商店街のように「犬と猫しか歩かない」「鉄砲を打っても死者がでない」と言われていた商店街を「昭和」をコンセプトに活性化したプロセスの取材。今回は関係者に幅広く取材を行った。 |
2 |
2009年10月4日 |
現地調査 |
NPO法人起業支援ネットは、コミュニティ・ビジネスの担い手、特に女性を対象にした、起業家育成の中間組織としては全国的にも有名な組織。創業者である代表者に対して、創業の経緯や現状に関するインタビューを実施。 |
3 |
2009年10月8日 |
講習会 |
NPO法人コミュニティ・ビジネスサポートセンター代表理事の永沢映氏を講師に、練馬区と共催で計3回の講習会を練馬区民対象に実施。 |
4 |
2009年10月24日 |
講演会 |
昭和50年頃までは、衰退の一途を辿っていた温泉が、およそ20年をかけて、全国で最も人気のある温泉になるまでのプロセスについての講演会。 |
5 |
2009年 |
現地調査 |
読谷村のむらおこし事業の中核であるテーマパークの主にマネジメント面に関する調査を実施。 |
6 |
2010年 |
現地調査 |
過去1回の取材と講演会で、現状の把握ができたので、今回は、町長をはじめ、この取組に関わっている人たちに幅広く取材を行った。 |
7 |
2010年2月23日 |
現地調査 |
長野県下諏訪町御田商店街は、街道の要衝、産業の中心地として栄えていた当時の面影をなくしつつあったが、おかみさん会の尽力や商店街にモノづくりの場を設けるなどして、活気を取り戻しつつある。そのプロセスを取材。 |
8 |
2010年 |
現地調査 |
全国各地にあるインキュベータの中でも、花巻市起業化支援センターは、数少ない成功事例として有名である。その成功は、インキュベータ設立前に、形成された花巻工業クラブや岩手大学を中心としていわてネットワークシステムと呼ばれる産学官のコミュニティの存在が大きいのではという仮説のもとで、1年前に予備ヒアリングを行なった。今回は、同じ仮説のもとで、取材対象を広げて調査を実施した。 |
9 |
2009年5月9日 |
第1回打ち合わせ会 |
年度計画の策定 |
10 |
2009年6月17日 |
第2回打ち合わせ会 |
年度計画の決定 |
11 |
2009年10月17日 |
第3回打ち合わせ会 |
途中経過報告 |