2020.10.14

Category:金融学科

金融学科 准教授 蓮見亮

コロナと景気

新型コロナウイルス感染症の影響により対面での授業が困難な状況は、2020年度後学期も続いています。遡ること半年、本学の今年度の授業は例年より1か月遅れの5月中旬にオンライン形式でスタートしました。蓮見専門ゼミは、経済学全般を研究対象とするゼミナールです。当初、新たにゼミ生となった2年生には、まずは日本経済に関する専門書を輪読し、その後各自が研究の問い(テーマ)を決めて、期末のプレゼンテーションとレポート作成に臨んでもらう予定でした。

 

この春に始まった誰も予期していなかった異常事態は、見方によっては、経済社会の仕組みを普段と違った視点で学べる格好の教材となります。4月・5月の緊急事態宣言下では、授業に限らず様々な活動が制限され、先が見えない状況になりました。そこで、当初の予定を変更し、蓮見ゼミでは将来をいち早く見通すべく、マクロ経済の予測を試みることにしました。

 

将来を知るには、まずは今を知らなければなりません。消費の動向は、政府統計である家計調査から把握できますが、4月・5月は宿泊が激減、外食・被服が半減した一方、教養娯楽の一部に増加が見られました。雇用の動向については、米国の失業率が2月の3.5%からピークとなった4月に14.7%と急速に上昇しましたが、雇用制度の異なる日本では失業率は2%台を維持しました。新型コロナウイルスの感染者数の動向も重要です。ヨーロッパがいち早くピークアウトした一方、米国の感染者は堅調に増加していきました。これらに比べれば、日本での流行は限定的でした。

 

マクロ経済の将来を予測するためには、一定のシナリオを想定する必要があります。日本での新型コロナウイルスの感染者数は夏場にいったん収束後、寒くなる秋口から再び流行の兆しをみせるという前提条件としました。ここから、家計消費のパターンはある程度見えてきます。一方、企業の設備投資の動向を占うには情報が不足しています。小売、外食、宿泊業などは投資を抑えるでしょうが、製造業など直接影響を受けなかった業種の応対はしばらく時間が立たないと見えてきません。このような曖昧なやり方ではありますが、GDPとその構成項目について2年程度先までの予測値を作成しました。予測結果が正しかったか誤っていたかは、しばらく時間が経ってみないとわかりません。答え合わせはこれからです。

 

この試みを通じて、ゼミ生は、経済には常に予測不可能なショックに晒されるリスクがあることを実感できたのではないでしょうか。ショックが一時的なものか、恒久的なものかによっても対処法は異なります。学生が卒業後、どの業界、どの企業に就職したいか考える際に、このようなショックに対する考え方を参考にしてもらいたいと思います。

 

授業に用いている研究室内の機材。左側のMacBookがメイン機で、真ん中のモニタも接続している。授業にはZoomを用いているが、投影スライドはiPadから映すとペンによる書き込みができる。ゼミ以外の講義は録画するので、右側のノートパソコンも接続して学生からの見え方を確認している。

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