経済学部ゼミブログ

2024.12.19
- 経済学部
- 金融学科
株式の模擬売買を通じて企業を分析する
ブログ投稿者:金融学科 准教授 中嶋 幹
1年次秋学期に開講されるプレ専門ゼミナールは、2年次から始まる専門ゼミナールの準備科目として位置づけられています。本ゼミでは、2年次に学習する企業金融理論の準備として、株式学習ゲームを通じて実践的な学びを深めました。この株式学習ゲームは、仮想の所持金1,000万円を元に、実際の株価に基づいて株式の模擬売買をシミュレーションする教材です。ゼミ生は、経済分析や企業分析を通じて、株価上昇が見込める銘柄を選定していきます。ゼミ生全員が株式投資未経験の中でスタートした株式学習ゲームの投資結果は果たしてどうだったのでしょうか?

1位となった「トレードマスターズ班」は、約3カ月という短期間にもかかわらず資産を1,587万円に増やすことに成功し、「白Tオールスターズ班」「ぼろもうけ班」の両班も市場平均であるTOPIXを上回る結果を出しました。「トレードマスターズ班」に驚異的なパフォーマンスを記録した要因を聞いたところ、「安定銘柄4~5割、期待銘柄3~4割、挑戦銘柄1~2割というバランス重視の投資戦略を採ったことが功を奏し、安定的な資産増加を実現する一方、米大統領選挙の影響を見越して投資した暗号資産関連銘柄(挑戦銘柄)が急騰し、最高値で売却することができた」と分析していました。一方、最下位となった「ぼろもうけ班」からは「分散投資を重視したものの、短期投資を前提に業種を絞るべきだった」といった反省の声が聞かれました。
投資家は、企業の直近の財務情報だけではなく、その企業が長期的に価値を創造できるかどうかを評価します。では、企業価値創造の原動力とは何でしょうか。ゼミでは、投資対象銘柄のパーパス(企業の存在意義)や統合報告書をもとに価値創造プロセスを読み解き、CSR活動と企業価値創造の関連性を探るなど、企業価値創造の条件を多角的に分析してきました。毎週の演習課題に取り組むのは大変だったと思いますが、「ESGなどの取り組みや組織の構造なども重要な分析材料になり、株価に大きな影響があることを学んだ」「女性の働き方に興味を持った」「CSR活動にどんな事例があるのかCSV(共通価値の創造)と絡めて学びたい」といった声が寄せられ、企業金融理論の一端を理解する貴重な学習機会となりました。
また、実際の株式市場を体験するために、東京証券取引所を見学しました。ゼミ生からは、「市場が開いてから1時間も経たないうちに8,000億円以上の取引が行われていると知り、取引規模の大きさを実感した」「テレビで見る光景や上場の鐘を直接見ることができたことに感動した」「リアルタイムで進行する取引の緊張感を感じ、金融市場が世界とつながっているダイナミズムに感銘を受けた」といった感想が寄せられました。一方で、「想像していたよりも淋しい感じだった」「かつての取引所での手の動きによる株式売買の様子が今とはあまりに異なっていて衝撃を受けた」といった率直な意見も聞かれました。
今回のプレ専門ゼミナールを通じて、ゼミ生は様々な企業価値評価の視点や株式市場のダイナミズムを実感する貴重な経験を得ることができたように思います。この経験が、これから金融学科で学んでいく学問領域において大いに役立つことが期待されます。
今回のプレ専門ゼミナールを通じて、ゼミ生は様々な企業価値評価の視点や株式市場のダイナミズムを実感する貴重な経験を得ることができたように思います。この経験が、これから金融学科で学んでいく学問領域において大いに役立つことが期待されます。
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東京証券取引所見学の様子 -
東京証券取引所見学の様子