2019.07.01

Category:経営学科

経営学科 教授 竹内広宜

グループで思考実験に取り組む

経営学科では1年次の前期、ランダムに割り当てられた担当教員のもと「教養ゼミナール」を履修します。教養ゼミナールの内容は担当教員によって異なり、それぞれ特色のある活動を行なっています。私の専門は先進情報通信技術(流行りの人工知能:AIも含みます)の活用ですが、教養ゼミナールでは、「答えがない問いに取り組む」ことをテーマにしています。これは、世の中の活動の中で遭遇する課題には、答えが自明でないもの多く、場合によっては何が課題であるかも明確でないこともあるからです。大学入学までとは違うタイプの課題にグループ活動を通して取り組んでいます。

 

本年度の教養ゼミでは思考実験を取り上げました。思考実験とは、ある特定の条件を想定し、頭の中で推論を重ねながら自分なりの結論を導くものです。今回取り上げた思考実験に「トロッコ問題」があります。これは、「暴走するトロッコの進む先に5人の作業員がおり、このままでは大事故となります。自分の目の前には線路の切り替えスイッチがあり、進路を変えることができます。しかし、変更した進路の先には1人の作業員がいます。どうすべきか?」というものです。自分が行動をせずに5人を犠牲にするか、行動して1人を犠牲にして5人を助けるか、という判断をグループで考えました。グループ活動では、写真のように各グループで、フリップチャートと呼ばれる大きな紙に、状況を図示し、各選択肢をとるべき理由を書き出します。そして、各自が意見を述べ合い、グループとしての結論を出した後、全員の前で発表してもらいました。また、引き続き、同じ5人 vs 1人の状況を医療現場など異なる設定に変え、以前出した結論と同じになるかどうかも、各グループで検討しました。

 

今まで、模範解答がある問いに慣れてきた学生にとっては、答えが明確に決まらない問題は経験が少ないため、最初のうちは戸惑いも見受けられました。しかし、グループみんなでフリップチャートにワイワイと絵を描きながら問題を可視化し、話合いをすることに慣れてくると、思いもつかなかった視点での意見も出るようになり、私にとっても驚きと発見がありました。なお、トロッコ問題は、AI技術の有望な応用の一つである自動運転においても課題になっています。技術単独では解決できず、社会制度の変更も含めた大きな課題だということを、関連する新聞記事を読んで学びました。思考実験を経験したことにより、人間の認知の歪みによって生じる社会活動上の諸問題について理解が深まったと思います。

 

経済学部では後期から各教員の専門内容に沿ったゼミが始まります。残りの教養ゼミの活動でも、柔軟な発想を持つとともに、考えたことをわかりやすく表現し他者に伝える能力を磨けるよう、頑張りたいと思います。

 

 

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