2023年度の活動報告
武蔵大学経済学部 鈴木正明
2023年度の活動実績の概略
2023年度は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、zoomと併用した対面で研究講座を5回実施した。
各回の主な内容は次のとおりである(表1、表2、表3参照)。
第1回の舩越英之氏は、滋賀県において創業支援に長年携わり、これまで多くの起業支援や支援体制を強化するための取り組みに従事されている。その内容は、ビジネスインキュベーション施設の入居者支援、創業機運を醸成するためのビジネスカフェの開催、滋賀県創業サポートネットワークなど多様なものであり、2023年度からは高校等からの要請に応じて、起業家教育に関する授業も行っている。本研究講座では、近年力を入れている女性の起業や社会課題を解決するための起業への伴走型支援の現状と課題についてお話しいただいた。地域の起業支援は、当該地域の活性化という観点から重要であることを再確認した。
第2回の高橋勇造氏は、北海道等において学びの機会格差問題の解決に取り組む認定NPO法人Kacotam理事長を務められている。「子どものあるべき姿を定めない」「1つ1つの経験から自然と何かを感じて、何かを得ていく」という理念から、「学習に取り組める環境づくり」「視野が広がる環境づくり」「つながりができる環境づくり」という三つの環境づくりに取り組んでいることが紹介された。格差は経済的なものにとどまらず、学びの機会においても存在している。そうしたなか、同法人の取り組みは着実に成果を上げている。格差が世代間で固定化されないようにしていくうえで、政府だけではなく非営利セクターが大きな役割を果たすことを具体的に学ぶことができた研究講座だった。
第3回の和田隆博氏は、子どもデザイン教室代表理事を務められており、虐待をはじめとしてさまざまな事情で親と一緒に暮らすことができない子どもたちを支援している。支援の特徴はアートの活用である。その活用を通じて意見表明力を高め、「生まれてこなければよかった」「どうせ言っても無理」といった自己肯定感の低さを克服できるようにしている。本研究講座では、アートが自己肯定感を高める理論的な根拠とともに「造形ワークショップ」という実践的な取り組みも紹介された。子どもの人権保護や健康的な発達の重要性は論を俟たない。本研究講座では、これらの課題解決の大切さを説得的に理解することができた。
第4回の山本博子氏は、NPO法人Mama’s Caféを岐阜県多治見市で立ち上げられた企業家であり、現在に至るまで理事長を務められている。カフェや物販、イベントなどを通じて22年にわたる活動を通じて多治見市やその近隣地域において子育てがしやすい環境づくりに貢献し、同時に働きやすい環境をスタッフに提供してきた。これらの活動を長期間にわたって継続できた背景には、社会貢献と経営とのバランスがしっかり確保されてきたことがある。本研究講座では、収益性を維持していくうえでの委託事業の重要性や受託するうえで必要なことなどをご教示いただいた。近年企業とNPO法人との活動が接近していくなか、理念を大切にしながら活動を経営していくという課題にどのように対応すべきについて貴重な示唆をいただいた。
第5回の和田浩章氏は、島根県西部の益田市にあるShimane Cinema ONOZAWA館長を務められている。21年6月に夫婦で益田市へ移り住み、2008年に閉館されたままになっていた映画館を復活させた。ご講演では、クラウドファンディングで映写機導入の資金を集めたことなど、再建の経緯や現在の取り組みなど幅広いお話を伺った。また、この研究講座には映画ファンも多く参加したことから、映画に関しても多くの質問があった。地方において文化活動を維持することの重要性を改めて感じる研究講座となった。
各回の主な内容は次のとおりである(表1、表2、表3参照)。
第1回の舩越英之氏は、滋賀県において創業支援に長年携わり、これまで多くの起業支援や支援体制を強化するための取り組みに従事されている。その内容は、ビジネスインキュベーション施設の入居者支援、創業機運を醸成するためのビジネスカフェの開催、滋賀県創業サポートネットワークなど多様なものであり、2023年度からは高校等からの要請に応じて、起業家教育に関する授業も行っている。本研究講座では、近年力を入れている女性の起業や社会課題を解決するための起業への伴走型支援の現状と課題についてお話しいただいた。地域の起業支援は、当該地域の活性化という観点から重要であることを再確認した。
第2回の高橋勇造氏は、北海道等において学びの機会格差問題の解決に取り組む認定NPO法人Kacotam理事長を務められている。「子どものあるべき姿を定めない」「1つ1つの経験から自然と何かを感じて、何かを得ていく」という理念から、「学習に取り組める環境づくり」「視野が広がる環境づくり」「つながりができる環境づくり」という三つの環境づくりに取り組んでいることが紹介された。格差は経済的なものにとどまらず、学びの機会においても存在している。そうしたなか、同法人の取り組みは着実に成果を上げている。格差が世代間で固定化されないようにしていくうえで、政府だけではなく非営利セクターが大きな役割を果たすことを具体的に学ぶことができた研究講座だった。
第3回の和田隆博氏は、子どもデザイン教室代表理事を務められており、虐待をはじめとしてさまざまな事情で親と一緒に暮らすことができない子どもたちを支援している。支援の特徴はアートの活用である。その活用を通じて意見表明力を高め、「生まれてこなければよかった」「どうせ言っても無理」といった自己肯定感の低さを克服できるようにしている。本研究講座では、アートが自己肯定感を高める理論的な根拠とともに「造形ワークショップ」という実践的な取り組みも紹介された。子どもの人権保護や健康的な発達の重要性は論を俟たない。本研究講座では、これらの課題解決の大切さを説得的に理解することができた。
第4回の山本博子氏は、NPO法人Mama’s Caféを岐阜県多治見市で立ち上げられた企業家であり、現在に至るまで理事長を務められている。カフェや物販、イベントなどを通じて22年にわたる活動を通じて多治見市やその近隣地域において子育てがしやすい環境づくりに貢献し、同時に働きやすい環境をスタッフに提供してきた。これらの活動を長期間にわたって継続できた背景には、社会貢献と経営とのバランスがしっかり確保されてきたことがある。本研究講座では、収益性を維持していくうえでの委託事業の重要性や受託するうえで必要なことなどをご教示いただいた。近年企業とNPO法人との活動が接近していくなか、理念を大切にしながら活動を経営していくという課題にどのように対応すべきについて貴重な示唆をいただいた。
第5回の和田浩章氏は、島根県西部の益田市にあるShimane Cinema ONOZAWA館長を務められている。21年6月に夫婦で益田市へ移り住み、2008年に閉館されたままになっていた映画館を復活させた。ご講演では、クラウドファンディングで映写機導入の資金を集めたことなど、再建の経緯や現在の取り組みなど幅広いお話を伺った。また、この研究講座には映画ファンも多く参加したことから、映画に関しても多くの質問があった。地方において文化活動を維持することの重要性を改めて感じる研究講座となった。
今年度は、教育・子育て支援・文化に関する取り組みや、これらの活動に対する支援の状況を主なテーマとして研究講座を開催してきました。そのなかで、これら活動の重要性とさらに発展させていくうえでの課題を研究講座への参加者に知ってもらうことを目的に活動してきました。
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回 |
日 時 |
タイトル(テーマ) |
講 師 |
第1回 |
2023年9月20日(水) |
地域の社会課題を解決するビジネスの創出~滋賀県の取り組み事例~ |
舩越 英之 氏 |
第2回 |
2023年10月11日(水) |
子どもの学びの場づくり~学びの機会格差解決に向けて~ |
高橋 勇造 氏 |
第3回 |
2023年11月7日(火) |
アートで高める親と暮らせない子どもの自己肯定感 ~子どもデザイン教室の取り組み |
和田 隆博 氏 |
第4回 |
2023年11月14(火) |
NPOに営業は必要か?子育て支援とビジネス |
山本 博子 氏 |
第5回 |
2023年12月5日(火) |
過疎地の廃業した映画館の復活〜地方に根ざす文化の在り方 |
和田 浩章 氏 |
回
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第1回
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第2回
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第3回
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第4回
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第5回
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受講者総数
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25名
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19名
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28名
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39名
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29名
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内 Zoom
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18名
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9名
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8名
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20名
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9名
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