国語
2024年度入試 出題の基本方針
大学の授業では、専門書や論文を読んでその内容を正確に理解し、またわかりやすく論理的な文章でレポートを書くことが求められます。本学の国語では、受験生 がそうした基礎的な日本語の読み書き能力を持つかどうかを判定する問題を出します。大 問 三 問 のうち、〔I〕(現 代 文)は 共 通 問 題、〔II〕(現 代 文)と〔III〕(古 典) は選択問題ですので、一題を選択して解いて下さい。〔II〕〔III〕両方を解いた場合、 高得点の方を判定に用います。
〔I〕は論説文で、漢字の設問を含みます。設問は文章の論理を正確に読む力を把 握することをねらいとしています。語彙や慣用句に関する知識、筆者の主張やその主張に対する理由や例等の文のつながり、文や段落同士の接続関係、概念やキーワード、全体の主旨や論理構成を問う設問が出されます。文中の語句の有無で正誤を判定するような表面的な読解ではなく、文章の本質的な部分を理解することが求められます。
〔II〕ではやや自由な書き方の論説や随想、時には小説に近いエッセイや、文学作 品を引用したエッセイなどを出します。論理というものは論説文だけではなく、随 想やフィクションの中にも存在するためです。こうした文学的な文章の読解では、 筆者独自の視点など、文中に直接的に「書かれていない」ことを読みとる場面もあ りますが、文章の前後のつながりを踏まえ、「書かれている」ことから内容を読み取 る読解の基本は変わりません。文章の論理を読み取る力をはかる点で、基本的な出 題方針は〔I〕の場合と同様です。
〔III〕は古典です。物語や日記・随筆・説話、評論などの古文から出題します。古文特有の語彙、文法、文化に関する知識を踏まえ、文章の意味を正確に把握するための設問を設けています。全体の大まかな意味をなんとなく読みとるのではなく、 基礎的な語句の意味や文法事項を踏まえ、文章の展開に即して、書かれている内容 を正確に把握する必要があります。どんな場面か、誰が登場しているか、発言は誰 のものか、誰から誰に向けた敬意が示されているかなど、基本的な事柄を一つ一つ 理解することが重要です。文法に関する出題もありますが、文法を通して場面の状況や人物同士の関係及び心理、筆者の主張など、文章の意味を総合的に理解するこ とを重視しています。古文を理解するために重要な文学史や伝統文化、和歌の修辞 等に関する出題も行います。
傾向と対策
日々の授業の予習・復習が基本です。高校三年間の国語の授業で学ぶ「読み」の 方法を理解し、教科書や入試問題で頻出する著者の論説文などを精密に読み解く力 をつけましょう。辞書を引いて語彙を豊かにし、常用漢字を復習しておくことも大 切です。また、エッセイや文学作品など、幅広いジャンルや分野の文章を読むこと も必要です。古典については、重要な古文単語や文法事項を復習し、単語の意味や 機能を正確に把握する力をつけて下さい。さらに、語釈等を付した「注釈書」や「 対訳」(古文と現代語訳を併録したもの)で古典作品の全体を読んだり、古典に関する新書等を読んだりすることも有効です。
過去問題を解くといった入試対策に特化した勉強も有効ですが、幅広い読書が遠回りなようでいて実は最も有効な勉強方法です。先生や知人に紹介された本を入り 口にして幅広い本を読むこともよいですし、自分が面白いと思った分野や著者があれば、特定のものを集中的に読み進めることも有効です。こうした着実な読書の経 験こそが、大学生活における全ての学びを支えてくれるはずです。