武蔵大学持続可能な社会・経済研究会とは

気候変動問題をはじめとした地球環境問題の深刻化、解決されない貧困や格差問題など、全球的に社会・経済全体の持続可能性をいかに実現すべきか議論が続けられています。SDGsの実現が国連によって提唱され、世界的に持続可能性が大きなテーマとなるなかで、各国政府、自治体、企業など多くの経済主体に、持続可能な社会・経済実現のための具体的な施策や行動が求められています。しかし、SDGsで定められている達成目標は多様であるために、ある種の持続可能性を実現するための解決手段が、他の目標達成を制約してしまい、それぞれの目標達成がトレードオフ関係となる場合が多くあります。結果的に持続可能な社会形成のための一部の地域や経済主体の行動が、むしろ世界全体の社会・経済の持続可能性を減少させるような効果を発生させてしまうことは、すでに多くの研究、実際の事例として示されています。真の持続可能性を達成するためには、持続可能性に対する各経済主体の取り組みが、他の経済主体間や社会全体の持続可能性にどのような影響を与えるのか、複雑な影響を明らかにするために、多面的かつ重層的な分析を行わなければなりません。
 
現在、経済学、政治学など、社会科学全般で様々な分野で持続可能な社会に関して政策提言が行われていますが、それぞれの提案されている施策の相互作用や関係性を十分に理解する統合的な研究活動はいまだに不十分と言わざるを得ません。真の持続可能な社会実現のためにも、国際的な研究活動をもととした多角的な分析視野と、学際的な研究知見を併せ持つ、より俯瞰的な研究が社会的に要請されていると言えます。そのため持続可能性を担保する社会・経済実現のため、学術領域を越えた議論を創発するとともに、国際的な研究協力の加速化を目的として、本研究会は設立されました。