社会学部ゼミブログ

2024.07.01

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「歩く」ゼミ

ブログ投稿者:社会学科 教授 垂見裕子

私の専門ゼミでは、教育や格差等の問題を社会学的に学ぶとともに、定量データ分析のスキルを習得していきます。4年ゼミは、金曜日の9:00から12:40と長時間のゼミ。前期は自分の設定した仮説を検証するためにデータ処理や統計的分析を進めたり、卒論ドラフトを発表・講評したりしています。しかしこの時期、就活、教育実習、公務員試験の勉強も並行してあったり、卒論の分析や執筆が思うように進まなかったりと、ゼミ生の不安も募る時期のため、リフレッシュも必要。そこで5月初旬のゼミでは、ケア・インターナショナルジャパンが実施している「歩く国際協力」にゼミで参加しました。
 
世界の4人に1人が安全に管理された水へのアクセスが困難である中、このキャンペーンは、途上国で水汲みのために毎日歩かなければならない女性や女の子たちの身になって歩く、また歩いた歩数に応じて企業から途上国支援の寄付がされるという、シンプルな国際協力。この日は途上国の女性や女子が水汲みのために歩く平均距離6kmよりは歩く、また歩く前に各自がアフリカの一つの国を選び、その国の水の状況、水の問題から生まれる様々な社会課題について調べた上で歩くことに。普段何らかの「不平等」をデータで解明している学生が、視野を広げて国際的な不平等について考え、動く機会になりました。
 
学生が決めたコースは、新緑が深まる明治神宮を散策してから、大学がある江古田まで歩くという約8kmのコース。いつもはゼミの課題に追われ他愛もない話をする時間が限られる中、歩くこと話すこと3時間。歩き始めた時は雨だった天気も、新宿についたころには曇り、そして大学に着くころには晴れ。締めはいつものお店で乾杯。「歩く」を通してお互いを身近に感じたり、交友を深めたり、運動不足を解消したりと、心にも体にも優しい時間になったかと思います。
 
普段と違うこのリフレッシュゼミは、他国で起こる問題についても自分ごととして、また日本との関連で考える、社会人になるにあたり色々な形の「社会貢献」について知る、そして卒論の執筆という孤独な作業の際に助け合えられる仲間をつくるという3つの意図から設定しました。卒論はこの日の天気のようにこれからも色々な段階があるでしょうが、4年生の皆さんが一歩一歩努力を重ね、立派な卒論を書ききることを期待しています。