社会学部ゼミブログ

2022.07.13

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白熱した5分間の作戦タイム

ブログ投稿者:社会学科 教授 大屋幸恵

3年生の大屋ゼミでは、例年、春学期に「ディベート」を実施しています。
この2年間は新型コロナウィルスの蔓延のため、対面での授業を行うことができず、ディベートも行えずにいましたが、今年は何とか実施することができました。
ディベートとは、「一定のテーマについて賛成側と反対側が議論を戦わせ、勝敗を判定するゲームの一種」とも言われています(参考:北岡俊明、2003『ディベート入門』(日経文庫725)日本経済新聞社)。
本人がもっている意見や主張とは関係なく、2つのグループに分かれて(今回はじゃんけんで!)、相手を打ち負かすべく、さまざまな準備をして討論に臨みます。
その準備のプロセスが、卒論執筆のプロセスのシミュレーションにもなるという教員の認識と、3年次、4年次の「社会学専門ゼミ」は2年間連続のゼミということもあり、できるだけ早くメンバーシップを確立し、ゼミの中で気兼ねなく発言ができる環境を作るため、ちょっと面倒ではありますがグループワークを取り入れているのです。
 
今年のテーマは「いじめ問題について刑罰化をすることに賛成か、反対か」。
2022年2月、フランスではいじめに特化した世界でも珍しい「いじめ防止法」が成立し、いじめの厳罰化がなされました。日本でも「いじめ防止対策推進法」(2013年6月公布)はあるものの、本当に実行力のあるものなのでしょうか?どうすればいじめをなくすことができるのでしょうか?
立論に際しては、それぞれのチームごとに関連する資料を収集したり、独自のアンケート調査を実施したりと、自分たちの主張を理論的に伝えるために工夫を凝らしていました。
立論、反対尋問、反駁、最終弁論のそれぞれの間には、5分間の「作戦タイム」があります。
日頃の報告の折にも、グループでディスカッションは行っていますが、今回の作戦タイムの5分間はそれとは比になりません。相手の主張の理解に加え、矛盾点の指摘とこれまでない集中力で、チーム内での議論が活発に行われ、次に登壇するメンバーの発言をまとめるために一生懸命に協力している姿は、教員にとっては嬉しく、微笑ましいものです。
 
ジャッジは4ゼミ生が担当しました。4年生はコロナの影響で残念ながら、ゼミのディベート大会を経験していませんが、講評では、各自がそれぞれのチームの良い点と改善すべき点などを的確に指摘しており、たった1年の違いですが、専ゼミで培った「聞く力」や「分析力」、そして、「コメント力」等の「力」の差を感じる瞬間でした。
勝敗は僅差ながら「反対側」の勝利となり、「大屋カップ」が贈呈されました~。
3年生にとっては、今回のディベートの経験から、自分たちの主張を限られた時間の中で、的確に伝えることの難しさや質問力の大切さを改めて実感できたようです。来年はジャッジ役です。この1年間でどれだけ成長できるのか、これからのゼミも頑張っていきましょう。
 
1)ディベートの準備は大変!「賛成派」は図書館のディスカッションスペースで
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2)「反対派」は11号館のグループスタディルームで打ち合わせ
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3)賛成派の立論。各種資料・データを効果的に活用!
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4)反対派は、独自のアンケートを実施。気合い入ってます!
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5)「立論」のための資料も充実してます。
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6)熱心にメモをとりながらジャッジする4年生たち
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