社会学部ゼミブログ

2021.10.16

  • 社会学部
  • 社会学科

ゼミにおけるオンラインツールの強み

ブログ投稿者:社会学科 教授 垂見 裕子

3年ゼミのグループ発表で、他の学生が発表に対する質問やコメントを書き込む様子
後期の授業、武蔵大学では再びリモート授業が続いています。ゼミは対面の方が良いという意見は多いですが、この1年間半、リモート授業で試行錯誤する中で感じた「ゼミにおけるオンラインツールの強み」をいくつか紹介したいと思います。
社会学科の垂見ゼミでは、社会調査データを計量的に分析することを通して、教育格差や教育現象を明らかにします。ゼミでは頻繁に発表の場があります。オンライン授業になってからは、発表者は前日までにGoogle Classroomにグループワークの発表資料や卒論ドラフトを掲載し、当日は他のゼミ生全員がZoomのチャット機能を用いて事前に準備したコメントを書き入れるようにしています。対面授業では一人ずつ当てると時間が足りなくなってしまいますが、チャットでは同時に書きこめるので、全員が否が応でもコメントをすることが可能になりました。オンライン授業になり、他のゼミ生が書いたものをじっくり批判的に読む習慣、ゼミで能動的にコメントする力がつきました。
画面共有をしながら、学生の統計プログラムSPSSのコーディングを確認、修正中
ゼミの卒論ではそれぞれに問いに合致したデータを選び、仮説を検証するために分析を進めますが、データ処理や分析では、学生は様々なところでつまずきます。以前はPC室で頭を摺り寄せてコーディングのミスを探したり、訂正する場合も教員が口頭で伝え、それをもとに学生がコーディングするという形態をとっていました。リモート授業になり、学生のPC画面上のコーディングが教員のPC画面に共有されることにより、コーディングのチェックもやりやすくなりましたし、新たなコーディングを提案する時もチャットやリモート操作で書けるようになったことにより、正確に早く伝えられるようになりました。今では「画面共有」が当たり前になりましたが、細かい作業をする時にはとても便利ですし、他の学生も同じ画面を見られることにより、コーディングや分析の過程で起きる様々な経験がゼミ全体で瞬時に共有できるようになりました。
4年ゼミの卒論ドラフトに対する教員のフィードバック
ゼミでは、2年間を通して卒論ドラフトを徐々に増やし、何度も改定していきます。対面授業の時は、毎回紙媒体で提出してもらい、その都度手書きでコメントを入れて返却していましたが、リモート授業ではGoogle Classroomで課題を提出してもらうことにより、ゼミ生一人一人の進捗が見やすくなりました。ファイルにコメントを書き込むことで丁寧なフィードバックができるようになりましたし、前の提出物でどのようなコメントをし、学生がそれにどのように対応したのか、問いがどのように変容してきたのかなどが簡単に見られるようになりました。20,000字の卒論プロジェクトを改定、推敲していく過程で、新たなツールにより進捗が可視化され、教員とゼミ生で共有できるようになりました。
 
ゼミでは対面授業に勝るものはないという点も多々ありますが、オンラインで発掘した様々なツールは今後も使用を続け、相乗効果を高めたいと思っています。