社会学部ゼミブログ

2021.01.28

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恋愛の社会学2020 —社会調査でわかる武蔵大生恋愛事情・パート2—

ブログ投稿者:社会学科 教授 中西 祐子

今年の社会学科2年中西ゼミ(社会学方法論ゼミ)では、「大学生の恋愛行動と意識に対する調査」をテーマに7月から9月にかけてアンケート調査を実施しました。目下、ゼミ生たちは、社会統計ソフトSPSSで分析した結果をまとめた最終レポートの作成中ですが、ここでは先行して今年の調査結果の一部をご紹介したいと思います。
 
私のゼミで、武蔵大生の恋愛事情をテーマに社会調査を行うのはこれで2回目です。
(前回2016年の調査報告については、社会学部ゼミブログ2016年12月15日の記事にありますので、是非そちらもご覧ください。)
果たしてこの4年間で、武蔵大生の恋愛事情には何か変化が見られたのでしょうか。
 
まず、4年前との大きな違いとして、今年は新型コロナ流行の影響がありました。例年、ゼミ生たちは興味のあるテーマごとにサブグループに分かれ、授業時間内外で具体的な質問項目や質問文を作り上げるものでした。ところが今年は授業すら各自の家からのリモートなので、ゼミ生同士が直接集まれる物理的な場所がないのです。
 
今年はグループ活動が可能なのか心配していましたが、そこはさすがに今どきの大学生。自分たちでLINEのビデオチャットやグループトークを存分に活用して「話し合いの場」を作り、課題を仕上げてきてくれました。
 
2つめの違いとして、アンケート配布を対面で行えなくなったことがあげられます。いつもなら、A4用紙10ページくらいをホッチキスで止めたアンケートを作り、3~400人以上の人に直接配布していました。ところが今年はそれができないため、急きょGoogleフォームを利用してのWebアンケート調査に方法を変更しました。
<スマートフォン画面から見たWeb調査アンケートの一部画像>
<スマートフォン画面から見たWeb調査アンケートの一部画像>
実は、この変更が予想外に良い効果をもたらしてくれました。Webアンケートは、画面上のラジオボタンをチェックするだけで先に進むので、何ページにもわたる紙のアンケートをもらって記入するよりも、回答する側には簡単だったのです。

また、今回はスマートフォンからも回答できるようにしたため、空き時間に手元のスマホからアクセスできることも高評価でした。そのおかげもあってか、今年も学内260人ほどの回答を集めることができました。

それでは、以下にその結果の一部をご紹介しましょう。

まず、現在恋人がいる人の割合です。

「現在いる」と答えた人は26.7%でした。「今はいないが以前いた」は42.6%、「これまでいたことはない」人も30.6%いました。皆さんのイメージする大学生の姿より「恋人がいる人」が少ないかもしれませんが、実は4年前と今年とでそれほど傾向は変わっていませんでした。

現在の恋人との結婚を考えていますか
では、「現在恋人がいる」人たちは、相手との結婚をどう考えているのでしょうか。

「絶対結婚したい」と答えた一途な人は、わずか24.6%に過ぎませんでした。一方、「結婚したいと思うが、他にいい人が現れたらしない」と答えた人は47.8%もいました。「結婚したいと思わないが、他にいい人が現れなかったらしたい」は15.9%、「結婚したくない」が11.6%でした。皆さん、わりとドライな恋愛をしているようでもあります。

ちなみに、今回設けたこの4つの選択肢は、ゼミ生たちがサブグループ活動中にひらめいたものだということです。当初は今の恋人と「結婚したい」「結婚したくない」の2択にする予定でしたが、話し合いを重ねるうちに、「もっと一人一人の心情は複雑だよね」ということになり、このような絶妙なニュアンスの選択肢が完成したのです。

 

ゼミの醍醐味とは、このように他の人と意見を交わしているうちに自然と新しいアイデアが生まれてくるところにもあります。

結婚前提ではない恋愛関係
 さて、ここからも分かるように、現代の恋愛は極めて流動的なものです。今恋人がいても、その人と将来結婚するかどうかは未知数です。今回の調査でも、「結婚前提でない恋愛関係」を「まったく気にしない」と答える人が半数近く(46.1%)に上り、「あまり気にしない」(33.3%)と合わせると8割近くが容認していることが分かりました。
 その一方で、今の学生たちは、恋愛の「始まり」についてはははっきりしているのを好むようです。

「告白しないまま付き合い続ける」ことをどう思うか聞いたところ、「とても不満」「やや不満」と答える人は多く、あわせて7割を超えていました。

  • 告白しないまま付き合い続ける
  • 好きな人がいたら告白できる

それでは、好きな人がいれば、みんな勇気をもって告白できるのでしょうか。

実は、「告白」という行為は学生たちにとってはなかなかハードルが高い行為のようでした。「好きな人がいたら告白できる」かについて、「いつもできる」と答えた人は極めて少数派(6.2%)で、今度は7割近くの人が「(告白は)できない」(「あまりできない」+「全くできない」)という回答でした。

 

現代の大学生にとって、恋愛は、まだまだ難しい課題のようです。