社会学部ゼミブログ

2019.06.20

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フィールド調査に向けた準備

ブログ投稿者:社会学科 准教授 人見 泰弘

【インタビュー記事を題材に質問項目を抜き出していきます】

武蔵大学社会学部では、2年生で社会調査法を習得するゼミが開講されています。社会調査の資格である「社会調査士」の資格取得に関わる科目もあり、ゼミ生はさまざまなテーマで開講されるゼミに所属し、質的および量的調査に取り組んでいきます。

私が担当する科目では、質的調査の方法論の習得が目的です。今年度は東京近郊で、国際移民や多文化共生に関わる人々や団体に聞き取り調査を行うことを課題として、一年間の取り組みが進められています。今年度のゼミ生は、まず質的調査の方法論について学んだうえで、少しずつ調査を行うための準備を積み重ねていきます。

6月のある日。ゼミも半分ほど進んできたので、ゼミでは調査の質問項目を考えるワークに取り組みました。移民当事者にインタビューを行った記事を教材として、どんな質問をしてこのインタビュー記事が書けたのか、なぜこうした質問を行ったのかを考えつつ、調査結果から質問紙を描き出す作業です。同時に、この移民当事者に追加の調査ができるとすれば、どんなことが聞きたいかを考える課題にも取り組み、自分たちで質問項目をつくりだす作業も行いました。

【付せんに書き出した質問項目をあれこれと検討します】

各班に分かれたうえで、まずはひとりひとりが教材を読み込み、インタビューで用いられていた質問項目を付せんに書き出していきます。移住者の来日前の生活、来日の経緯や日本での生活に関する質問項目がみつけられたようです。

書き出された付せんを持ち寄り、各班でどんな質問がなされていたのかを検討します。いわゆるKJ法による作業ですが、さまざまな質問項目の構造を視覚的・体系的に捉えることがねらいです。自分たちが聞いてみたい質問項目も付け加えながら、徐々に質問紙がまとめられていきます。さてさて、どんな結果になったでしょうか。この作業を進めた後、ゼミでは各班からの報告を聞きつつ質問項目作りのコツを学んでいきました。

次週からは実際にインタビューする人々や団体を検討し、調査依頼から実際のインタビューの実施へと進んでいきます。夏休みと秋学期の時間を使いながら、ゼミ生はフィールド調査に取りくみ、秋学期のゼミを通じて調査成果をまとめていきます。

一年間のゼミ活動を通じて、ゼミ生は社会調査のスキルを体験的に習得していきます。3年生・4年生には、このゼミでの経験を活かしてひとりひとりがオリジナルな卒業論文をつくりあげていきます。2年生の社会調査法ゼミは、そのための大切なステップを踏んでいく時間なのです。