社会学部ゼミブログ

2018.07.26

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グループワークでアイディアをまとめ、図解する

ブログ投稿者:社会学科 教授 菊地英明

社会学科では、本年度の2年生より新カリキュラムの「社会学方法論ゼミ」が始まりました。今日は、その日常の一コマをご報告します。

既にゼミブログをご覧になった皆さんは、本学が「ゼミの武蔵」と呼ばれていること、そして毎年、全員がゼミを受講することをご存知だと思います。社会学科の場合、2年次のゼミで「方法論」をマスターして、4年次の卒業論文の執筆に備えることになります。料理にたとえると、卒論のテーマは新鮮な「素材」で、方法論は「料理法」です。いい素材をおいしい料理に仕上げるためには、料理法の選択——煮るのか焼くのか、はたまた揚げるのか——と、その使いこなしが鍵になります。

学生の皆さんの多様なニーズに応えるため、新しいカリキュラムでは方法論のゼミの内容のバラエティを幅広くすることとなりました。大雑把に言えば、「講読」(専門的な本の読み方)・「実践」(出向き、調べ、学ぶ)・「社会調査士資格取得」(調査に関する資格を取る)となりますが、私は今年度、「現代日本の子育て問題」を共通テーマとし、「講読」と「実践」を組み合わせたゼミを担当しています。

さて、本日のゼミのテーマは

「日本の子育て問題の全体像はどうなっているのか」

「練馬周辺地域には、どのような課題があるのか」

に答えを出す、というものです。これは後期に「実践」(実地調査等)を行う前提となる、大事な作業です。「三人寄れば文殊の知恵」という言葉がありますが、メンバーのアイディア・知見をグループワークを通して集約する過程で、新しい、思わぬ発見に出会うことがあります。

そのための方法にはいくつかありますが——ブレーンストーミング、マインドマップ、KJ法等、興味のある方は調べて下さい——その多くは分かりやすく「図示/図解」する作業を伴います。授業ではPCやタブレット等も活用していますが、今日は昔ながらのやり方で紙のカードを使って、KJ法を試してみることにします。

アイディアをまとめていくための参考書や道具。川喜田二郎『発想法』は古典の中の古典です。

作業は、カードやポストイットに項目を簡潔に書き、似た内容や深く関連する内容のものをまとめていくことから始まります。本日集まったカードの例を見ると、「保育士の待遇が悪い」「保育園の建設反対運動が起きている」…といった具合です。

只今作業中。関連の深いカードをまとめていく。

そしてカードの束と束相互の関係——例えば、因果関係や対立関係など——を考え、図示していきます。これは一見単純・簡単なように見えて、時間と根気の必要な作業です。全体と部分・要素がどのような関係にあるのかを掴み、整理することは、論文やレポートを書く上で大変重要な方法ですので、おろそかにはできません。

学生がつくりあげた図解の例。保育問題の根本原因として「お金が足りない」とあります。(経済学部でなく)社会学部の教員としては少々考えさせられます…

最後は全体での発表です。日頃の練習の成果か、緊張しながらも、皆堂々としていました。

緊張しつつ全員の前での図解の説明。

今日、ご紹介したことは授業で取り扱う内容のごく一部で、今後は聞き取り調査の方法などに進んでいく予定です。今年の参加学生の皆さんが、年度末にどのようなレポートをまとめることができるか、そして培った方法論を2年後の卒論にどのように生かすことができるか、今から楽しみにしています。