社会学部ゼミブログ

2018.01.16

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足下から「社会学的な問い」を見つける

ブログ投稿者:社会学科 准教授 大橋史恵

「ゼミの武蔵」である武蔵大学では、1年生からゼミに参加します。もちろん社会学部でも同じ。1年の前期には「初年次基礎ゼミ」、後期には「初年次応用ゼミ」が開講されます。ゼミの内容は担当教員によって異なります。今年の大橋ゼミでは「靴から見た現代社会」という大テーマの下で、3-4人のグループごとに課題を設定して取り組み、ポスターセッションで発表することを目指してきました。

学生たちが見つけてきた「問い」は、「時代の変化のなかで『靴』の流行のありかたは何らかの世相を表してきたのだろうか」「トランスジェンダーの当事者は、男女二元化されることが多い『靴』についてどのような困難を抱えているのだろうか」「職場で『革靴』を強制されることを、働く人たちはどのようにとらえているのだろうか」などなど、多様です。

そもそも「靴」を大テーマにしたのは、誰にとっても身近で、それなりのこだわりや悩みをもつ人も多いものだから。まさに自分たちの足下からさまざまな疑問を「社会学的な問い」へと精錬していくこと、そしてそれを実証的に議論していくことの難しさと面白さを、少しでも経験してもらいたい、というのが狙いでした。

ポスターセッションとは、1枚~数枚のポスターにおいて研究成果を示しながら口頭でプレゼンテーションする研究発表の手法です。日本の社会学関係の学会ではそれほど一般的ではないのですが、ビジュアルに訴えかける発表ができる、オーディエンスと直接ディスカッションすることが容易である、といった利点があり、海外の学会でははじめて研究発表に挑戦する若手研究者向けによく開かれているようです。

この発表に向けて、各グループは12月頃に、自分たちができる範囲でのアンケート調査をしたり、周囲の協力を得てインタビュー調査をしたり、靴メーカーへの問い合わせをしたりすることでオリジナルのデータを集めてきました。現在は、これらのデータを文章化したりグラフにしたりして、一生懸命、ポスターを作っているところです。

はじめは迷走することもあったグループも、ポスター作成の段階になると、研究成果がかたちになっていくことに嬉しそうな様子でした。

いよいよ今週のゼミが、ポスターセッションの当日です。各グループの発表がどんな仕上がりになっているか、担当教員としても楽しみです。