社会学部ゼミブログ

2015.04.24
- 社会学部
- メディア社会学科
ドキュメンタリー制作始まる 永田ゼミ
ブログ投稿者:メディア社会学科 教授 永田浩三

4月23日、例年より1か月早く、2年生のドキュメンタリー制作実習のロケが始まった。きょうは、さいたま地裁。朝8時過ぎにゼミ生6人が集合する。裁判所の前には、アスベストの被害で家族を失ったひとたちが並ぶ。かつて国は、アスベストを含んだセメントの管を国策として普及させようとした。

原告のひとたちにお話を伺う。アスベストは、「静かな時限爆弾」といわれる。亡くなった松島かつ子さんは、石綿がもうもうと舞い上がる作業の現場で働いて40年。中皮腫を発症してわずか3か月でなくなった。きょうの裁判では、証拠の資料のほとんどが「黒塗り」だったことで、原告側弁護人と裁判長が激しくやりとりする場面を傍聴した。

裁判って、なんて生々しく人間的なんだろう。学生たちは驚きの声を上げる。知らないことだらけ。だからこそ、現場から学ぶのだ。アスベストの実物を見る。安く、腐食せず、断熱性に優れ、加工が簡単。夢の繊維と言われたアスベストが、いま牙をむく。

ドキュメンタリーは発見と怒りと共感だ。これから、学生たちはさまざまなひとに出会うことで成長していく。今年は、尼崎のクボタショックから10年。いまも毎年1400人のひとたちが、アスベストによる中皮腫で亡くなっている。この究極の理不尽にどう向き合うのか。学生たちの奮闘に期待したい。がんばれ!!