社会学部ゼミブログ

2014.06.09
- 社会学部
- メディア社会学科
プロから直接習うという「ぜいたく」
ブログ投稿者:メディア社会学科 教授 奥村信幸

ゼミでは「ニュースの卵」にニュースクリップをアップすることを目標にして作業をしている。ビデオジャーナリスト方式をとっているため、リサーチと取材交渉、撮影やインタビュー、映像や情報の整理、構成や演出、ナレーションの原稿執筆と録音、ビデオの編集やテロップ(字幕)付けという一連の作業をすべて1人で行う。この日は、ナレーションを「伝える」作業について、実際に声を出して学んでみるワークショップだ。
まず、甲斐さんの声量とジェスチャーに驚く。クラスの発表や数十人程度の前でのパブリックスピーチの経験がせいぜいのゼミ生には想像もできないくらい、甲斐さんは、良く通る声をさらに張り、手を差し出し、体で大きくリズムを取る。メッセージを人の心に届かせ、ナレーションの内容を理解して、納得してもらう作業は想像以上に重労働なのだということを思い知る。
「実際にやってごらん?」甲斐さんの用意してくれた原稿を、ひとりひとりが読んでいく。ドキュメンタリーのオープニング、通販番組の商品の説明、イベントの告知など、メッセージの内容によって伝え方が全く違うことを知る。「文章の『ヤマ』を見つけて、流れるように語れ」とアドバイスを受けて、一生懸命抑揚をつけようと試みるが、声は震え、裏返ってしまう。プロの底力を思い知る瞬間だ。
何度か練習してアドバイスをもらい。何人かはコツをつかんだようだ。これから取材する映像ニュースの作品に、ぜひ生かして、印象的なメッセージを届けて欲しい。
ワークショップ後、甲斐さんの仕事について話を聞く。関西出身の甲斐さんが、どうしても甲子園球場のDJの仕事がしたくて、何も手がかりがないまま球場の代表番号に電話を入れる所から始まって、約2年がかりで晴れてDJの仕事を得るまでの苦労話を聞き、夢を叶えようとする強い思いも大事なのだと気づく。