社会学部ゼミブログ

2013.07.03
- 社会学部
- メディア社会学科
議論の訓練
ブログ投稿者:メディア社会学科 教授 小田原 敏

ああでもないこうでもない、何をどうしたら何がわかる?等々、笑ったり騒いだりしながら大まじめに議論しているのは3年ゼミの共同研究テーマ絞り込み。メディアやコミュニケーションがらみのことは、トピックとしての候補は多いが、2ヶ月ぐらいでまとめ上げることのできる研究テーマとなれば、結構ハードルは高い。
この日の候補は、「男子が女の子向けのマンガを見ることと、女子が男の子向けのマンガを見ることには外からの視線が異なるが、そこから何がわかるか」、「大学生というステレオタイプと実際の大学生が持つ大学生像の違い」「学科やサークルなどのグループ(小集団)とファッションの傾向性」など、目に見える現象からその裏にひそむ法則や原理を探ろうというものだった。どのテーマ案もゼミ生が提案した身近な疑問だが、これを研究の領域ま でにするには結構大変な作業だ。
性別とマンガの議論でも、ステレオタイプが作用しているらしいというところまでは議論が進み、まずはステレオタイプの意味や機能を探ってみることになっ た。最初は、あのマンガ見たとか、おもしろいマンガだったとか、話しがそれてしまうこともしばしばで、本題が何だったかを忘れてしまうことも多かったが、 この頃は教員が脇道へそれていることを指摘する前に「で、これは結局どういうアプローチで調べていくの」などと学生が自分たちで議論の道筋を理解し修正し ながら進めてくれるようになったので、私としてもとてもうれしい。
ゼミは学生が主体。しかし、サークルや友達のように話題がどんどんそ れていっても楽しければそれでいい、というような集団ではないし、議論の目的も違う。ところどころ脇道にそれながらも、きちんと研究の方向を理解し、共同 研究発表という目標に向け、考え、発言していく。こういう訓練は大学だけでなく、社会に出てからもとても役立つだろうと思う。
今週のゼミもまたガラス張りのゼミ室で「ああでもない、こうでもない」の議論が続く。
※ステレオタイプ:頭の中に入れる「認識・記憶用の箱」で、最低限の特徴点に絞っているため実際との差異や偏りも生ずる