社会学部ゼミブログ

2012.07.18
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トトロの森でフィールドワーク
ブログ投稿者:社会学部社会学科 武田尚子

社会学科の武田ゼミ3年生は、7月14日に「トトロの森」(狭山丘陵)に出かけました。「トトロの森」は自然を守るため、人々の寄付金で土地を買い取るナショナル・トラスト運動で有名です。
最初に訪れたのは、緑のお茶畑のなかにたたずむ古民家「クロスケの家」です。ナショナル・トラストを進める「トトロの森ふるさと基金」が保有する建物で、 トトロがいまにもひょっこり現れそうな雰囲気に満ちています。ここでゼミ生たちは、事務局長の荻野豊さんに「トトロの森」の活動が始まって以来22年間の歩みをうかがいました。

「トトロの森」は、人々の暮らしと自然の営みが寄り添って形成されてきた「里山」です。土地を買い取る時には、持ち主がその土地にこめてきた思いや歴史を尊重しながら、きめ細かく丁寧な交渉を積み重ね、信頼関係を築いて、土地を取得されてきたそうです。ナショナル・トラストとは、寄付をしてくださる人々の信頼、土地を売ってくださる人々の信頼を、将来の人々のために生かす活動であることが、伝わってきました。
荻野さんのお人柄がにじみでる温かな口調を通して、「トラスト(人々の信託を受ける)」の深い意味がゆっくりと心にしみてきます。これから千年、二千年と 続いていくこの活動の大河の一滴を作られた人々のお一人に、運動が始まった22年めのある夏の日、私たちはじかに思いのこもった一滴を心のなかに注いでい ただきました。
「トトロの森」とは「信頼の森」であり、人々の間に信頼を育てる森、信頼が積み重なった証しの森、生き物と人々の「多様性」を受け入れる森なのだということが、夏空に映える緑のあざやかさとともに私たちの心に刻まれました。