社会学部ゼミブログ

2011.11.15
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先生、参考資料ありませんでした…
ブログ投稿者:社会学科 矢田部圭介
どこのゼミでもそうだと思いますが、私が担当する4年ゼミでも、卒業論文提出までに残りほぼ1か月となって、学生さんたちは、ただいま、必死で作業中です。もちろん、わりと余裕をもって作業している人もいれば、ここに来て慌てている人もいて、悲喜こもごもです。
その卒業論文なんですが、私の担当するゼミでは3年次から、少しずつ準備をしてもらっています。というのも、いざ本格的に執筆をはじめよう、と思ったときに、意外なところでつまずくケースが、これまで、けっこうあったからなんです。
社会学部の卒業論文は、自分の問題関心や仮説にもとづいた社会調査をふまえて書くことが多いです。さすがに、いきなり調査っていうわけにはいきませんから、その前に自分の研究課題について、参考資料を探していろいろ調べておいてね、と学生さんに言うわけです。
で、これによくある返答が、「先生、参考資料はありませんでした」(涙)。
まあ、この気持ち、分からないではないんです。
例えば、いま卒論を書いている4年ゼミに「人力車夫」をテーマにしているひとがいます。観光地でときどき見かける人力車。この人力車を引く仕事をしている人たちの仕事への思いや、仕事にのめりこんでいく仕組みを、インタビューをもとに明らかにしたい、というのが課題です。
このテーマで参考資料を集めようとしたときに、論文のデータベースを「人力車」「社会学」で検索してみても、たしかにヒット数はゼロに近いかもしれません。観光地の人力車夫の仕事についての社会学的な研究は、過去にはたぶんほとんどないでしょうから。
というわけで、「先生、参考資料はありませんでした」になりがちなんですが。
もちろん、そんなことないんです。
例えば研究対象がちょっとくらい違ってもいいんです。似たような対象であれば。じっさい、この4年生が研究の参考にしているのは、同じような雇用の仕組みをもっている「バイク便ライダー」についての社会学的研究です。
あるいは、調査でインタビューをおこなうなら、インタビューの方法について書かれた本だって参考資料です。また、観光地での仕事がテーマですから、「観光」 とか「旅行」についての、あるいは「労働」や「アルバイト」についての過去の研究は、いろんなヒントをくれる資料になるでしょう。
自分の研究課題を少し広い範囲でとらえなおせば、参考資料は必ずあるんです。

今年の卒業論文のできはどうかな。来年の卒業論文はどんな感じになりそうかな。まだ少しはやいですが、師走は、今年も、卒業論文で明け暮れそうな予感です。