社会学部ゼミブログ

2009.07.04

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いかに日常に接近し、フォーカスするのか

ブログ投稿者:社会学科 大屋幸恵

オープンキャンパスなどでよく「社会学はどのような学問ですか?」という質問があります。そのようなとき、「社会学は日常の身近なことも含めて、この世界 に生じるあらゆる出来事、社会の問題を専門的(科学的)に研究することができる学問ですよ」と答えていますが、実際に社会学を始めたばかりの学生にとっ て、自分の身近な日常に目を向け、問題点を探し、科学的にアプローチするということ、すなわち、「社会学的視点」を身につけることは、簡単なことではない ようです。
 
ということで、その方法を身につけるべくゼミでは、文献を読むだけではなく、アンケート調査やインタビュー調査、さらにフィー ルドワークなども実施していますが、今年の3年ゼミでは、6月19日(金)に東京・恵比寿にある東京都写真美術館にフィールドワークに出かけました。
  • いかに日常に接近し、フォーカスするのか01
    ①写真展のチラシ:今回フィールドワークで鑑賞した写真展のチラシ
  • いかに日常に接近し、フォーカスするのか02
    ②3ゼミ集合写真:右端の女性がゼミ担当者ではありません!
2 つのグループに分かれ、写真術が発明された19世紀から現代に至るまで、さまざまな旅から生み出された作品を展示した「旅 東方へ:19世紀写真の旅」と いう企画展と、1930年から1970年代前半に、朝日新聞社に在籍したカメラマンの<仕事>を中心とした「プレスカメラマン ストーリー」という企画展を鑑賞しました。絵画を中心とした美術館に行くことはあっても写真美術館は初めてという学生がほとんどで、とても<新鮮>な体験 であったと同時に、<写真>に対する認識を新たにしたようです。
 
また、鑑賞後、一番印象に残った写真についてのコメントを提出してもらい ましたが、「プレスカメラマン ストーリー」で展示されていた秋元啓一氏が撮影した「銃殺-ある高校生の死」をあげる学生が多くみられました。これは、ベトナム戦争時、ベトコンとみなさ れた少年の公開銃殺刑の様子を記録した一連の写真の中の一枚ですが、「自分たちとあまり年齢も変わらない少年がいとも簡単に生命を奪われた事実に衝撃を受 けたとともに、怒りを感じた」、そして「何故こんなことが起きたのか、もっと知りたいと思った」という感想が見られました。
 
現代日本社会 には、情報や刺激が満ちあふれ本当に自分が欲しいモノなのか、楽しいコトなのかも分からずに日常が過ぎてしまいがちですが、こんなふうにシンプルに怒りや 驚きを感じたり、もっと知りたいと思う機会は意外に少ないのではないでしょうか。今回のフィールドワークは学生にとって、自分自身がどのようなものに心を 動かす人間なのか、すなわち、関心をもつのかを知るきっかけになったのではないでしょうか。
いかに日常に接近し、フォーカスするのか03
③調査票作成作業中:社会調査は体力勝負です!
一方、ゼミの4年生たちは自分が関心をもった テーマを解明するために、卒業論文のため文献研究や資料集め、アンケート調査の実施など悪戦苦闘の毎日です。先日(6月29日)、アンケート調査を実施す るゼミメンバー8人が集まり紙折、ホッチキス留めなどの製本作業をしました。実査については現在、他のゼミや講義などで多くのみなさんにご協力をいただい ています。この場をお借りして、改めてお礼申し上げます。4年生にとっては、この夏の過ごし方で卒論の出来が大方決まります。文献研究に、アンケート調 査、インタビュー調査などなど。自分の納得のいく卒論を完成させるため、4年生、ファイト!!