リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2020.05.28
- 武蔵One Point自然観察
チューリップのようなユリノキ(Now 武蔵の自然 No-06)

学名はLiriodendron tulipiferaで、命名者はリンネです。種小名は文字通り「チューリップ(のような花)をつける」の意味です。良く知られているように「植物の種」を1753年に出版しました。古くからヨーロッパの人々にも親しまれていたのでしょう。元々は北米原産の樹木ですが、その美しさのために、世界中の人に親しまれて、移動してきたのでしょう。

日本では、明治時代初期に渡来し、東京国立博物館本館前庭の巨木に添えられた銘板には以下のように由来が記されているそうです。確かに、博物館の巨大な建物に比べてもひけをとらない、堂々とした大木です。
『明治8、9年頃渡来した30粒の種から育った一本の苗木から明治14年に現在地に植えられたといわれ、以来博物館の歴史を見守り続けている。東京国立博物館は「ユリノキの博物館」「ユリノキの館」などといわれる。』
花は10センチ近くもあって大きく目立つのですが、如何せん、高い梢に咲いているので手に取るほどの近さでみることは叶いません。でも、武蔵では8号館の空中庭園から教授研究棟との間に育っている木を真横から見ることができます。来年は、ぜひ見てください。葉は相撲の軍配みたいな形ですからすぐわかるでしょう。
-
軍配のような独特の葉の形を目印に探してみてください。撮影日時: 2020:05:16 05:58:49 -
横からみると確かにチューリップの形と大きさです。撮影日時: 2020:05:16 05:56:51
モクレン科ですから、おしべは巨大ですし、めしべも特有の形をしています。花が大きいので、蜜量も多く、舐めてみるとしっかりと甘さを感じます。秋になり結実すると写真のような果実がつきます。すぐ気づくように、風散布型の種子です。くるくる回りながら飛ぶ、カエデ類と同じです。
-
露のように見えるのは蜜です。撮影日時: 2020:05:16 09:11:32 -
並べて置いてあるのは昨年秋に、同じ木から拾った種です。撮影日時: 2020:05:16 09:07:19

話は突然変わりますが、教科書の発送作業もほぼ終りです。3千数百人の学生の皆さんの手元へ、授業に支障ないようにと、時には夜まで頑張ってくれていました。また、草引きも大変ですが続けられていて、草原にならないよう、作業が続いています。登校した日には、構内を回りながら人々の活動に思いを致してください。