リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2020.03.27

  • 野外実習/実験

研修後レポート【古谷凪沙】(2019年赤城山植物野外実習)

今回、赤城山実習は8月24日から27日の4日間おこなわれた。しかし、私はゼミの研修旅行と日程がかぶっていたために1日遅れての参加となった。一人前橋駅からバスに乗り、メンバーのいる調査地を目指す。ちょうどこの日はマラソン大会が行われており、車の数も多くとても賑わっていた。バス停に着くとメンバーと丸橋先生が迎えてくれた。午後、準備を終えていざ調査地へ。もちろん事前に毎年の調査の写真や報告書、ビデオなどは見ていたためなんとなく予想はついているはずであった。しかし、実際に見た調査地は想像していたものと全く違った。まず調査地へ向かうまでの道が道ではなかった。腰の高さまである笹をかき分け踏み分け進んでいく。たまにある倒木には足をすくわれ転びそうになる。そんな難解な森をメンバーが先導で案内してくれ、また歩きながらこの山の地形などについて説明してくれた。1日たっているのだから当たり前だが、調査は思っていたよりも進んでおり、なによりもメンバーがこの森に詳しくなっていることに驚いた。レーザー距離計を使いこなし、木を見上げてぱっと何の木か判別がつく彼らを見て、すごいという尊敬の気持ちとまだ何もわからない自分への焦りと、少しの寂しさを覚えた。

また、私は今回足をけがした状態での調査であったため、主に記録を担当した。メンバーがあちこち歩き回りながら叫ぶ数値を書き残す。もちろん、全体の数値を把握することができて面白い役目ではあったが、せっかくならば同じように森の中を自由に歩き回って調査を行いたかったという気持ちもある。途中参加とけがをしていたというこの2点は、後悔が残る部分である。

しかし、もちろん参加して成長した部分やよかった点は多くある。まず、実習中に一番印象的であった調査は、ミズナラのこども調査である。ミズナラの稚樹の特徴を捉え、判別がつくようになったとき、とても楽しかったし少し自然との距離が近くなったように感じた。今までなにも気にせずに歩き回っていた地面には意外とたくさんの稚樹があることに驚いた。これだけの細くて弱々しい木が、私たちがよく知る大きく立派な木になるまでに一体どれほどの時間とパワーが必要なのだろうと考え、自然の力の偉大さを改めて感じた。また、そもそもこの森を歩くということ自体が滅多にない機会であった。ただでさえ自然豊かな赤城山であるのに、さらに笹だらけの普段なら入らない森の中を歩くことで、まるで異世界に入り込んだような気持ちになった。森の中を歩いていてなんとなく調査区の位置や歩き方を把握できたとき、少しかっこいい自分になれたような気がした。

研修から帰ってきてからは、今までは見向きもしなかった道端にあるような木も気にするようになった。種類によって幹が全く異なり様々な特徴があることに気がついた。対する意識が「ただの木」から「ひとつひとつの木」へと変化したことは自分の中で大きな変化であったといえる。

そして、この研修を通して素敵な仲間と出会うことができた。自然の中で共に調査をし生活をしたメンバーに感謝の気持ちでいっぱいである。実習で得たこと、学んだことを自分の人生を豊かにするために役立てていきたい。