リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2020.03.27
- 野外実習/実験
研修後レポート【松本彩奈】(2019年赤城山植物野外実習)
初日に訪れたかみつけの里では、スタッフの方から古墳時代の人々の暮らしに関するお話を聞いた。私が一番印象に残ったのは、その時代個人のお墓がなかったということだ。現代では、死者は聖なる者と取られがちであるが、その時代の人々にとって、生死に関わる災害のための、土器の大量生産による祭祀は重要であり、亡き者には目もくれない。当時の権力格差の象徴であると感じた。同じく初日に行った絹の里で驚いたのは、日本の経済発展の中心に絹の生産があったことや、日本の絹が世界のシルク産業を支えることになったことだった。日本についてまだまだ知らないことがたくさんあるんだと思うと恥ずかしく思ったが、中学以来に歴史の授業を受けている感覚になり、懐かしさを感じることもできた。
赤城山に到着してからの3日半は、どの作業も楽しくやりがいがあり、時が過ぎるのが早く感じた覚えがある。その中でも、たくさんのことを山での作業から学んだ。
まず、山に行った4日間で様々な樹々に触れ合うことができた。行くまでは樹々の名前や花の名前は見ただけでは全くわからなかったが、最終日には調査した木が見ただけで少しわかるようになった。更に、赤城山の現在の地形形成の話を聞いて、その地の歴史が目に見えてきて、他の地域の形成の流れにも興味を持った。
また、出発前にある程度学んだはずのそれぞれの器具の使い方は、想像以上に難しかった。木の高さを測るトゥルーパルスは特に扱いが難しく、原始測定の方が早く測れる上に、数値も安定していて、機械は使いこなせなければ意味がないこと、そして、実践が大事だということを改めて思い知らされた。だが、それぞれ役割を固定して作業を行ったためか、使っていくうちに作業が流れるように進むようになり、チームワークが成立した嬉しさが込み上げてきた。モミとミズナラの幼樹調査でも、それぞれが皆の範囲にまで目を配りながら調査していったため、各調査終了後は達成感が得られた。

このようにして、赤城山実習は様々な経験を得て終わることができた。また数年後に、この赤城山がどのような変化をしているのか、今度は登山も兼ねて訪れたい。