リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2020.03.27

  • 野外実習/実験

生物学ラボワークAとB概要

2020年の春は、新型コロナウイルスの感染拡大が全世界に広がっています。そのため、十分な科目ガイダンスを行う機会も4月初めにはなくなってしまったので、科目内容と春の花の写真を載せておきます。前期は生物学ラボワークA、後期は生物学ラボワークBという科目名です。

現在の地球に見られる、生物世界の多様な生態や種間の複雑な関係は、数十億年にわたる地球の生命の進化の結果です。この科目では、大学構内に生きる生物を材料として、生物と環境との関係あるいは種間の関係などを、生態学的視点より探求してゆきます。

この写真はクヌギの花を撮影したものです。学内を流れる小さなすすぎ川の最後に位置しています。ソメイヨシノ桜もそうですが、葉が開く前に花が咲きます。もやもやとした垂れ下がっているのが雄花です。雌花も咲いていますが、新しく伸びた枝にポツリ、ポツリと数少なく咲いているだけです。

同じ花の中にめしべとおしべがあるのではなく、同じ木のなかで雄花と雌花が違う位置に咲くのです。雄の花数と雌の花数を比べてみると、途方もない比率となります。花粉を風で散布する植物にとっては、受粉の機会を増やす進化の一つです。

大学構内の植物や生き物を、生命の進化原理を探ってみるのがこの科目です。

この写真は3号館中庭の武蔵のシンボルツリーの大ケヤキです。では、この木に咲く雄花数はいくつでしょうか?調査方法を想像してみてください。どう調べるかの方法を考えには、じっくりと観察しなくてはなりません。この科目を履修して、ぜひ花数調査にチャレンジしてみてください。

武蔵大学は都心にあって緑が豊かです。この緑は先輩たちが創り育んできたものです。大正時代から約100年間の激動の東京にあって、周りが急速に宅地化したので、生物の避難場所ともなってきました。

文科系の大学だからこそ、自然科学の面白さを楽しんで欲しい。一年間、自分が調べ慣れ親しんだ学内の自然は、一生の心象風景となるでしょう。

最近は温暖化が進み4月初めの入学式のときには既に葉桜になっていることが多くなっています。