リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2020.01.21

  • 国東農業研修

舟坂昔ばなしの家 中山ミヤ子さんのお話 佐伯麻弥(2019年実習-17)

車を降り、昔ばなしの家まで少し歩いていく道中、松木さんに道端に生えている植物について教えてもらった。ニラの花、赤シソ青シソ、ハゼの木、イチジクの木、ジュズダマ…私の肩の高さほど育った雑草が生い茂る中に傾いた支柱に絡まるトマトやナスを見かけた。今はもう手入れをしてくれる主がいないのだろうか。

 

昔ばなしの家に到着すると、入り口の前に鍋いっぱいに入ったドジョウが私たちを迎えた。これが私の人生においてドジョウと初めて遭遇した瞬間だった。表面がぬめぬめしており、つぶらな瞳がかわいい。水位が浅く、渋滞している鍋の中を懸命に泳ぎ回っていた。

 

中に入るとすでに数々の料理が囲炉裏をぐるりと囲むように並んでいた。とても暖かくてほっとする、いい雰囲気である。どんな料理があったかというと、さっぱりとしたそうめんバージョンの冷やし中華、具沢山の鶏飯のおにぎり、ジャガイモがホクホクの猪肉の肉じゃが、甘くふっくらした煮豆、ゆずの味噌漬けなどのお漬物数種類、調理法がショッキングなドジョウのフライ、小豆たっぷりのぜんざいである。

 

ここでショッキングなドジョウのフライの調理方法を記しておきたい。まず鍋の中でうにょうにょと動いているどじょうたちにワインを回しかけ、鍋のふたをする。その直後、ゲリラ豪雨よろしくバチバチバチッ!と音を上げながら中のどじょう達が鍋蓋にぶつかるほど激しく暴れだすのだ。酔っぱらわせて動きを止めるための工程らしいが、この後に自分がこの子たちを食べるのだと思うと申し訳ない気持ちになった。すまないどじょう達、尊い命は美味しくいただいたよ。

 

薄く衣が付いたどじょうのフライはカラッと揚がっており、表面はサクッと、身はふんわりとした食感でとても美味しかった。回しかけたかぼすの果汁も良い香りであった。普段食べる機会がめったにない食材ということもあり、味わっていただいた。

 

ご飯がひと段落したところでミヤ子さんから農家民宿を始めたころのことを伺った。もともとは旦那さんとご一緒に農家として米や牛を育てていたそうだが、安心院町の観光資源になり得るグリーンツーリズムの見学のためにドイツへと発った。自分の意志で出発を決め、かつ旅費はすべて自腹で行ったのだというからその決断力と行動力の強さに憧れる。現地で農家民泊を体験し、帰国してからは農作業を旦那さん、民泊の切り盛りをミヤ子さんが担うようになった。以来、宿泊者受け入れの準備や料理の支度など仕事は山ほどあってとても忙しい。しかし、まだ現役で働けているし、一度来た人がまた訪ねてくるのがとても嬉しい。この活動を始めて良かったとミヤ子さんは語る。

 

昔ばなしの家は一期一会を大切にする人、安心院やミヤ子さんのやさしさに惹かれた人が再び訪れたくなる素敵な場所だ。たくさんの人が愛着を持つ理由がお話をする中で分かった気がした。

  • どじょう最高です!全部ほっとするお母さんの味でした。大変美味しかったですごちそうさまでした。撮影日時: 2019:09:06 12:56:31
  • ヨーロッパ旅行のこと、むかし話の家の近況など色々とお話ししてくださった。撮影日時: 2019:09:06 14:21:53
  • 松木さん、ミヤ子さんを囲んで記念撮影。佐藤さんが撮影してくれました。お世話になりました。撮影日時: 2019:09:06 15:07:19
  • 鶏飯の入った竹かごを回し、いろりを囲んで中山さんの心づくしの昼ごはんをいただく。撮影日時: 2019:09:06 12:29:58