リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2020.01.21

  • 国東農業研修

都留さん ぶどう農家 吉田朱音(2019年実習-07)

都留さんのぶどう農園では、ぶどう農園や農家の現実や楽しさ、苦労、将来について教えてもらい考えさせられた。初めにぶどうをパックに入れていく作業をした。成長しきっていないものや割れているものをハサミでカットする。

 

そもそも収穫時のぶどうは白い紙に包まれている。その紙は農薬が直接ぶどうにかからないためのカバーの役割をしている。都留さんの農園ではピオーネとシャインマスカットを生産している。シャインマスカットを包む袋は下のほうが水色になっていて、ピオーネと見分けがつきやすいようになっている。その紙は農薬が直接かからないようにするだけでなく、遮光の役割も果たしている。また、種のないぶどうを作っている。ジベレリン効果というものによってぶどうの種をなくすのである。種の有無がそれほど重要なのか、と最初は思っていたが、消費者の立場から種がない方が食べやすいのは確かであり、農家も消費者のニーズに合わせて変わっていかなければならないのだと気づかされた。しかし、都留さん曰く種のあるぶどうのほうが美味しいらしい。私はどちらも美味しいと思うが、種の近くの果肉ほど美味しいという。また、本来皮に栄養があるため、皮ごと食べることが望ましいという。

 

次に、実際にどのような環境でぶどうを作っているのか見学させてもらった。テニスコート10面ほどの広さで敷地のいたるところにぶどうの木があった。高さは高いところで大体140~150センチ、低いところで120センチだった。大人はどうしても首をかがめなければならず、都留さんのお母さんはそれにより首のヘルニアになってしまったという。低いところでは腰や足にも負担がかかるので重労働である。また、ぶどうは先ほども述べたように白い袋で覆われているため収穫の際は小さい穴をあけて袋の中をのぞかなければならないなど、体に負担のかかる作業が多いことが見受けられた。草刈りや肥料撒き、農薬散布は基本的に機械で行われるが、3人で作業をしているためなかなか思うように作業が進まないという。

  • ぶどうは覆っている紙をはがしてパックに入れられる。撮影日時: 2019:09:03 09:12:05
  • 粒の大きさや付き具合によってランクが決まる 右からA・B・C。撮影日時: 2019:09:03 09:05:41
  • ぶどう農家都留さんの御両親も一緒に記念写真。撮影日時: 2019:09:03 12:05:38
  • 都留さんからぶどうの栽培と収穫作業のこつについてお話を聞く。撮影日時: 2019:09:03 09:08:18
実際高さ3メートルほどのビニールハウスの上に上がらせてもらったが、足場も不安定で、その中で作業をしている都留さんは本当にすごいと思った。都留さんとのお話の中でやはり人材不足があげられた。人手が足りないため草刈りしなければならないのに手が回らないことや、二次成長という本来なら切らなければいけないものが伸びたままになっていることがある。都留さんの家だけでなく国東市全体が人口減少という危機に直面している。ぶどう農家をしていて一番うれしいことは、自分が一年かけて作り上げたぶどうを美味しいと言ってくれた時だそうだ。さらに、ぶどうを「1年の集大成」と言っているのがとても印象に残った。

 

生産者の説明をその場で聞けて、生産者の前で食べることができるなんて普通では考えられないだろう。都留さんの家ではインターネットでの販売をしているが、私が農業体験をしていた約3時間の間に3組ほどの購入者が実際に足を運びに来ていた。購入者の中には毎年この時期になると買いに来るという人もいた。このように、生産者も消費者も安心できるのが国東市ならではだと思った。

 

収穫時期というお忙しい中貴重な体験をさせていただきありがとうございました。