リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2019.03.19
- 国東農業研修
都留ぶどう園での研修 古谷凪沙(2018年実習-08)

長廣さんのお宅で朝食をいただいた後、落合さんと古谷はブドウ農家の都留さんの元で研修をおこなった。私は昨年も研修をしているので二度目である。
まずはブドウの調整作業を体験した。収穫されたブドウには鳥よけのためにかかっている袋をなるべくブドウにこすりつけないように注意してはがす。こすりつけてしまうとブドウの表面にあるブルームがはがれてしまうためだ。ブルームとはブドウの表面についている白い粉のようなもので、新鮮さを表すものであり多くついているほうがよいのだそうだ。袋をはがしたあとは傷ついていたり悪くなった実を切り落とす。取り除かれる実たちはまだ食べられるものも多くあったが、見た目がよくなるようにと消費者のために切り落とされているもので、それさえ気にしなければおいしいブドウである。


調整作業をしながらお話も伺った。現在都留さんが扱っている品種はピオーネとシャインマスカット、そして新たにオリエンタルスターを作っているそうだ。中でも昨年開発途中だったシャインマスカットは特に大人気だそうで、とても甘くフルーツというよりスイーツを食べてるような気分だった。一番忙しいのは収穫の時期で、まさに私たちの研修をさせていただいた時期であった。しかしこの時期が一番うれしいと都留さんのお母さんはおっしゃっていた。また、都留さんが作っている品種はどれも種がない。これは種がない品種を作っているのではなく、ジベレリン処理という特別な処理を行って種をなくしているのだそうだ。そのためたまに種がなくならず残っているブドウもあるそうだ。種なしブドウの中で種があるとつい「はずれだ」と思ってしまいがちだが、都留さんは「それはあたりだ」とおっしゃっていて、それがブドウ本来の姿だと思うと,なるほど、確かにあたりだと思った。種なしブドウは食べやすいため消費者にとても人気だ。しかしその裏では農家の方がわざわざ種をなくす処理を行っていること、それがすべて私たち消費者のためであること、自然の摂理に反していることを知り、忘れてはならないのだと思った。
調整作業の後、ブドウのハウスに連れて行っていただき収穫作業も体験させていただいた。どのブドウが収穫できるものかを見極める必要があるのだが、これが私たちにはとても難しい作業だった。ブドウには袋がかかっているため、ぱっと見中の様子はわからず、保護カバーの下に空いている小さな隙間からのぞき込み色の濃淡によって収穫可能かどうかを見極めなければならない。よさそうかなと思ったブドウも袋を外してみるとまだまだ熟しきっていなかったりする。都留さんが迷いのない手つきで収穫をする隣で私たちは隙間をのぞき込んでは首を傾げ、袋を外してまた首をかしげるの連続であった。この見極めにはポイントがあり、収穫可能なものはまだ熟していないものに比べてずっしりと重いことや、枝が茶色くなっているといったことを教えていただいた。しかしやはり見極めは難しく、都留さんがこのブドウは明日収穫、これは来週がちょうどいいとおっしゃっているのを聞いてプロの方は違うとただただ驚くばかりであった。

ブドウの栽培もただ木から生えてくるものを収穫できるまで待っていればいいというわけではない。そもそも木自体、接ぎ木をしてから5~7年たたないとブドウが収穫できるまでにならないそうだ。収穫ができるようになっても様々な作業が必要である。もともとブドウは枝の上から下まで実がついているそうで、この上のほうの実を切り取り、下だけを残すことにより栄養がより下の実に行くようにしているのだそうだ。芽かきといって、余分なブドウを摘んだり枝を切り落とすことで栄養が分散しないようにするといった作業も重要である。これ以外にも、袋がけの作業やジベレリン処理、枝の手入れ等実際に自分の目で見て話を聞くことでたくさんの手間暇がかかっているということを改めて実感した。
帰りにたくさんのブドウをお土産にいただいた。ブドウはほかの研修メンバーにも大好評で、次々と手が伸び研修が終わる前にいつの間にか食べきってしまっていた。