リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2019.03.19

  • 国東農業研修

研修後の個人レポート 山崎智裕(2018年実習-26)

河野忠臣さん発案の、こっぽ酒、生竹にお酒を入れて直火で暖める。容器も同じ竹でできていて、注ぐときなどにコポコポと音が出る。撮影日時: 2018:09:05 19:14:48

私は、農業研修で様々なことに興味をもつことができ、たくさんのことを感じた。正直農業のイメージは、日が出る前から動き始め日が落ちるまでひたすら畑で働いていると思っていた。しかし、実際現場に行ってみて、お話を聞いてみると、そんなことはなく、次の種を何時撒くか、台風が来るからどういった対策をとるかなど頭を使った農業が現状としてあり、機械化や効率化が進んでいるなと感じた。他にも、勝手に想像していたことがあった。例えば、農家は老後にやる方が多くなかなか若い方がやっているイメージはなかった。しかし、国東市は、若い方の農業参入も応援しようと研修制度があり、自立するまでしっかりと面倒を見てくれるとお話を聞いたのでとても驚いた。そして、それに参加する若い方もしっかりいるので、効果がしっかりあるのだなと感じたと同時に、国東市がやっているように自分一人ではどうにもならない職業は、最初の導入口的なものが明確に分かれば、興味をもっている人が寄ってくるので制度をしっかり作りさえすれば、人が集まるのではないかと思った。

 

まず、最初の二泊はねぎ農家の長廣さんにお世話になった。私自身、こういった農家にお世話になり生活するのは、初めてでどういったものかワクワクしていた。着いて早速びっくりしたのが、鶏が放し飼いになっていることと、一面に広がる畑だった。実家が、茶畑が無限に広がっている緑いっぱいの静岡にある私だが、こんなにも自然により近い感覚がしたのは初めての経験だった。長廣さん宅は、親子二人で大分味一ねぎという大分のブランドねぎを生産しており、ねぎを薬味などのわき役としてではなく、ねぎしゃぶやねぎ焼きなどといったブランドねぎの味わいを最大限に生かした調理の仕方をして欲しいとおっしゃっていた。それを聞き、生産者の方にはそのような思いが強くあるけれど、消費者まで声が届いていないと強く感じたので、これからもっと認知されるべきと同時にこのようなお話を聞いた私や、参加したメンバーが様々な場所で発信していくべきなのだと感じた。

 

一日目は、最初に、「からあげはなちゃん」へ行き大分名物のおいしい九州産鶏のからあげをいただいた。店主は、脱サラをしてその後、長年唐揚げ屋さんをしており希望があれば全国に配送もしているくらい人気のある唐揚げ屋さんである。夫婦で営んでいてとてもアットホーム感のあるお店だなと感じた。お店の構えは、あまり大きくなく船等の輸送用コンテナを使って店舗を作ったと話していた。次に里の駅に行きお話を聞き、弥生のムラにいき1800年前の村の話を聞いて、銅鐸を作る体験をした。

おふじでは皆でカラオケを楽しんだ。後ろの時計はもうすぐ11時を指していた。撮影日時: 2018:09:05 22:49:06
二日目は、各人農家さんで研修した。私は、長廣さんにお話をお聞きした。中でも印象に残っているのは、春先にアメリカに研修に行ってきたお話を聞いたことだ。アメリカは、土地も広大で、日照りもいいので、ヘリコプター等から種を撒いておくだけでしっかりと育ち、栽培するのに使う農薬の量は意外に少ない。収穫したらポストハーベスト農薬を付けて出荷すると言っていた。それと比較して日本は農薬を使わないと育たないと聞いたので日本での農業は、他国と比べて少し大変なのかなと思った。そして午後は、昔の食文化を知るために、揚げ餃子を作ったり、餅をついたりして伝統的な体験を肌身で感じることができる時間になった。夜はその揚げ餃子や、餅を食べながら、市長や地域の方、市の職員さん達と様々なお話をしてとても楽しい時間を過ごすことができたと同時に、国東市の地域のつながりを強く感じることができた。

三日目は市役所に行き、その後七島藺で作られた畳の生産所に行きお話を伺った。市役所では、市長から国東市が行っている活動や国東の知られざる名産品についてお話していただいた。私が驚いたのは、農業がとても盛んなのは知っていたのだが、海産物もおいしいものがあるということに驚きであった。そして、国東市をPRしている地域おこし隊にお話を聞いた。その後は、萱島酒造に行き歴史を聞きながら、伝統的な建物や作り方を拝見した。大正三年の建物ということもあり、古いが、今まできれいな状態で保たれているのは、建てた方や、使ってきた方の思いがあるからだなと感じた。その後、七島藺を使った、畳の生産所に行き畳づくりを見学し生産者のお話をお聞きした。生産者の方は、脱サラをして夫婦で田舎暮らしをしようと決めてきた方など様々な人生を歩んできている方が多くとてもキャリアの参考になったし、それだけ七島藺に魂を込めているのだと感じることができた。そして、最後の二泊をさせていただく民泊のおふじに行った。そこは、まったく電波が届かず、普段使っているスマホが圏外になってしまい、とても驚いたとともに、電波のない生活は余裕ができ、普段見えないものが見えてきて新鮮であった。

 

四日目は、まず田染の棚田を見るために朝日・夕日観音に登り景色を見た。上から見る景色は素晴らしく写真を撮るのが趣味な私にとってとても最高のスポットだった。その後は、富貴寺に行き、八幡の総本宮に当たる宇佐神宮を訪れた。宇佐神宮は、思ったより広く建物の作りも綺麗であり、屋根は八幡作りという伝統的なもので作りが巧妙であった。その後は、博物館・平田井堰に行き学芸員の櫻井さんから普段聞けないような歴史の話を交えて見学した。

 

五日目最終日は、まず鳥居橋を見て、むかし話の家で昼食をいただいた。そこでの食事は普段食卓に並ばないどじょうやいのししを使った食事を食べることができ、おいしさを堪能できてよい機会となった。都会でボロボロになってしまった方が泊まりに来て、疲れをいやして元気になっていく話はとても心を刺激された。私も、ミヤ子さんのように寛大な心で人を受け入れる人になりたいと思った。

 

研修はここまでの五日間であった。最初に日程を聞いた時には、とても長く感じたが終わってみて振り返ると一瞬一瞬がとても新鮮で直ぐだったが、いい意味で時の流れが緩やかでまた機会があれば訪れて、新しい発見や自分探しをしてみたいと思った。スポーツをしている私にとっては、食事も素晴らしいものであり、もっと様々な料理を食べたかった。研修が円滑に行くように関わってくださった方々や、案内してくださった方、僕達が車の中で爆睡している中運転してくださった丸橋先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。