リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2019.03.19

  • 国東農業研修

研修後の個人レポート 古谷凪沙(2018年実習-28)

夕日観音にて、里の駅で買った炭酸饅頭や、松原さんの工房でいただいたお団子を食べて一息ついた。撮影日時: 2018:09:05 09:30:04

私は今回2度目の研修参加となった。また今年も研修に参加できたことをとてもうれしく思う。

 

昨年の研修から帰ってきて私の大学生活は大きく変わった。また研修中だけではなく、研修が終わった後も私の中でこの研修プログラムの存在は大きかった。それ以前は大学に入って特にやることもなくただ授業を受けるだけの毎日であったが、国東半島に行ったことがきっかけでたくさんの新たな機会をいただき、挑戦することができ、また多くの新たな出会いにも恵まれた。昨年の個別レポートに「ここが私の人生のターニングポイントだったと思う。」と書いたが、一年間を通してそのことを実感した。

 

昨年のスピーチで「来年もまた来たいと思います!」と言ったが、正直もう一度参加できるとは思ってもみなかったし、また応募するとも思わなかった。また皆さんにお会いをしたいという気持ちも大きかったとのだ思う。今年も研修参加事前説明会は多くの人が参加したため正直この人数では2年目の私はいけないだろうと思っていたが、定員ぎりぎりで研修メンバーになることができた。毎年一度の応募でメンバーが決まらないそうだが今年は一発で決まったため、その人気に「危なかった…」という危機感を覚えるととともに多くの学生の皆さんがこの研修に興味を持ってくれていると考えるととてもうれしい。また、昨年の研修から帰ってきてこの研修の楽しさや国東の魅力について友人先輩様々な人に話をした。そしてなんと今回私の友人が実際に研修に参加をしてくれた。してくれたという言い方は違うのかもしれないし、私の話がなくても研修に参加していたかもしれないが、それでも魅力が伝わったと思うととてもうれしかった。

 

私にとって国東半島はすでに第2のふるさとのような存在であったが、正直また今年行ってもたった一度訪れた学生のことは覚えていただけていないだろうと思っていた。しかし、研修に来てみると私のことを覚えていてくださった方がとても多く、信じられないという気持ちと驚きとうれしい気持ちでいっぱいになった。越名さんが言ってくださった「おかえり」という言葉が今も忘れられない。「ふるさとはどこだっていい」とおっしゃっていた櫻井さんの言葉が強く響いた。

 

今回の研修では昨年よりも深く話を聞けた部分も多く、新たに学ぶことも多かった。からあげ花ちゃんでは昨年時間がなくお話を伺うことができなかったため、詳しくお話を聞くことができてとてもうれしい。特に、お店をしていてうれしいと思う瞬間についてのお話が心に残っている。また、お話を聞いて花木さんご夫妻もまた人生を途中で変えた方だということが分かった。国東半島にはサラリーマンからの転職であったり新たな移住者だったりと、人生を大きく変えた方がたくさんいらっしゃるように思う。私はまだ今やること、今やりたいことに手いっぱいで将来何がやりたいかなどは全く考えられていない。第2の人生などたくさんの生き方があることを学んだが、まずは何をやりたいのか考えるところから始めなければと改めて感じた。

 

農家民宿おふじの河野さんご夫妻も昨年よりもお元気そうであった。全員で食卓を囲んで話をしたあのひと時は本当に幸せの時間で、食べることの大切さも改めて感じた。大学生になってからは勉強やアルバイトが忙しく、帰宅時間が遅くなり一人でご飯を食べることが多くなった。朝や昼も常に時間に追われていて空腹を満たすためにものを食べているような感覚がある。それが当たり前になってしまっていたが、今回の研修で食事はただ食べるということだけではないと改めて感じた。みんなで机を囲み話をしながらとる食事はとても楽しく、初めて会った方ともすぐ打ちとけることができるし話もより弾む。食事はコミュニケーションの場なのだと改めて感じた。今回は研修期間だけでなく、前入り期間や研修後の旅行期間にも様々な方々と一緒に机を囲んでご飯を頂く機会があった。研修で食べるご飯はどれもとてもおいしく、それはもちろん地元で採れたものということもあるが、みんなで食事をしているということもさらにご飯をおいしくさせている要因の一つなのかもしれない。

 

前入り研修もとても心に残っている。1人での前入り研修ということで正直とても緊張したが、両子寺や走水に連れて行っていただいたり畜産の現場の見学や貴重な経験もさせていただいき、前入りをして本当によかったと心の底から思っている。あいにくの大雨で天気が悪く思うように動けないことも多くあったが、私にとって初体験のことばかりでとても充実した2日間であった。特に動物など生き物に触れる機会が多く、その温かい体温に命を感じた。自然と生きていくということは生き物と生きることなのだということ、自分の周りには命があふれているということ、私もまた生きているということを改めて感じた。また、雨が降っていて動けない間も長廣さんご夫婦と一緒にご飯を食べてゆっくりとテレビを見ていろいろなお話をしてと、まるで家族といるかのような時間を過ごしたことが心に残っている。嫁配りなどの行事もあり大変お忙しい中前入りを受け入れてくださった長廣さん、本当にありがとうございました。

私が今回の研修で特に考えたのは地元についてだ。研修で出会う方々は地域のことにとても詳しく、一を聞くと十返ってくるぐらいたくさんのお話をしてくださった。なんでも知っていすぎて皆さんの頭の中はドラえもんの四次元ポケットなのではないかとつい疑ってしまう。研修4日目、櫻井さんは故郷の人に自信をもって生きてもらうために講演や話をするのだと話してくださった。日本人は地元のことについて聞かれると謙遜して何もありませんと答えがちだが、これは海外では通じないことで自分の故郷についても話ができない人は信用してもらえないそうだ。櫻井さんの話してくださる話には国東について、自分たちが住む場所のすごさについて知ってほしいという願いがあり、知りたいと思っている人にリレーのバトンをつないでいきたいという思いがあると語ってくださった。

 

皆さんの地元の話や櫻井さんの話を聞いたとき、果たして私は地元の何を知っているだろうかと考えた。何がありますかと聞かれれば一応答えることはできるが、深くまで話すことはできない。地元の歴史すらもろくにわからない。私は本当にこれで地元で生きているといえるのだろうかと疑問を持った。国東半島は自然も文化も人も本当に素敵な場所だと思うが、それはもしかしたら国東半島以外のことをあまり知らないからよりそう思っているのかもしれない。研修を通して自分自身が生きている場所について知ることの大切さに気が付いたように思う。今まで考えたこともなかったが、自分の地元にとても興味を持った。研修で出会った皆さんのように胸を張って地元について語れるようになりたい。

 

研修中は「今年で研修2年目です。」「じゃあ来年は3年目だね!」「いやーどうでしょう!」なんて会話もあった。来年も研修に参加するかどうかは現時点ではまだわからないが、もし研修に参加しなくても個人的に遊びに行きたいと思う。私の中で国東半島はもうすっかり懐かしい大好きな場所だ。

 

今回の研修でお世話になった国東半島の皆さん、裏で支えてくださった大学の方々、丸橋教授、そして一緒に旅をしたメンバーの皆さん、素敵な時間と貴重な体験をありがとうございました!