リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2019.03.19
- 国東農業研修
ねぎ農家研修 長廣さん 渡部杏子(2018年実習-06)

2日目は長廣さんの家で朝食をいただいた後、3時間ほど農業体験をした。今回は、3ケ所の農家に分かれて体験を行った。山崎先輩と私はネギ農家である長廣さんの所でお世話になった。長廣さんの所では時期が合わず農業体験はできなかったが、いろいろなお話を聞いたり、ため池をみせていただいたりと有意義な時間だった。
お話を聞いた中で一番印象に残っているのは現代の農業は機械化が進んでいるためあまり重労働ではないということだ。体を動かすよりも頭を動かして、作物をもっと売るための方法を考えたり、作物を育てるための計画を立てたりと頭を使うことの方が多いようだ。例えば、ネギは調味料として使われることが多い食材だが、一度に多く食べてもらうためのメニューを考えたり、店に食材を提供してアイディアを出してもらったりしているそうだ。また、農業の機械化に関して、海外で見てきた農業についても教えていただいた。海外ではさらに機械化が進んでおり、桃や梨などは畑の地下に管を敷き地下から水をやる方法をとっているようだ。他にも種まき、収穫になると外部から人を雇って農家はあまり作業を行わない昔の荘園のような形態の農家があるようだ。この農家の人が全ての工程を行う必要はないという考えが私にはとても新鮮に感じた。
また、長廣さんの所では米作りも行っており、稲作についてもお話を伺った。米作りの作業はほぼ機械で行うことができるが、農薬などが高くつくためあまり儲からないそうで、収入のためではなく田んぼを守るために造るという側面が大きいようだ。
次に私たちは外に出て実際にネギを作っているビニールハウスを見学した。他の作物の場合1年1作だが、ネギの場合夏は60日、冬は4ヶ月と比較的短期間で作ることができ、季節によって期間が異なるため、計画的に植える必要がある。長廣さんの所では収穫時期を分けて、それぞれのビニールハウスで育てている。育てる際の注意点としては、芽の出たてと収穫の時期にはUVカットをしっかりと行わないといけないそうだ。芽が出たての頃は地温を上げすぎるとうまく育たず、収穫の時は太陽光を浴びすぎると良くないそうだ。私は太陽を浴びれば、浴びただけ元気に育つと思っていたので意外だった。芽が出るまでが一番気を遣う時期だそうで、芽が出揃ったときに感動するとおっしゃっていた。作物を育てる上で一番厄介なのが天候で、特に、台風が来るときが大変なようである。台風が来ると、場合によってはハウスを守るためにビニールをとって、作物を諦めなくてはならなくなるためだ。今まで私は、農業は重労働で日々同じ作業の繰り返しだと思っていましたが、自分で作る作物の量、つまり仕事量を決めたり、台風の時にはビニールハウスを守るために作物を切り捨てるかどうかの判断をしたりと自分で決めないといけないことが多いと感じた。
最後に、ため池に行ったあと、茄子を収穫した。ため池は思いの外端の方は浅く、魚がたくさんいるのがよく見えた。お話によると、例年よりも水位が下がっているようだった。
農業体験はあまりできなかったが、普段の生活では聞くことのできない農家の話をいろいろと聞くことができてよかった。
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夕方からの交流会用にナガナスを収穫。渡部撮影 -
丸小野の水系から一山越えた別の水系の溜池。今年は渇水で水位がかなり下がっていた。渡部撮影