リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2019.01.31

  • 国東農業研修

前入り研修 都留さんぶどう 渡戸(2017年実習-30)

翌31日の午前中からは、長廣さん宅から車で15分ほどの所にある都留さんのぶどう農園にお世話になりました。私たち3人は、まず初めに作業場にて傷ついた実を除いて形を整える調整作業や重さを量った上でパックに入れラッピングする包装作業、出荷の際に使う段ボール箱の組み立て作業(これが結構大変!)等のお手伝いをしました。

 

調整作業では、保護シートを1つ1つ外して中から現れる巨峰の大きさ・実りのバランスがどれも素晴らしく、ずっしりとしたその房の数々が所狭しと調整台の上に並んで、包装されるのを待っている光景は思わずゴクリとつばを飲み込んでしまうほどでした。調整の過程で切り落とされる実は、傷がついているとは言っても消費者が購入の際に見た目を気にするので仕方なく取り除いているだけであり、美味しさは全く変わらないものです。そこで私たちは、作業する手を動かしつつ、よけられた実を食べさせて頂きました。普段はあまりフルーツを食べない研修生も絶賛の美味しさで、国東の自然の恵みをまさに文字通り味わい尽くしました。

 

私たち消費者は普段、「巨峰と言ったら山梨産や長野産」というように、単なる知名度によって購入を決めがちですが、とんでもない!大分県国東のぶどうは、都留さんの作るぶどうは、どこにも勝る美味しさでした。調整作業後は、実際にぶどう畑で収穫作業をしたり、都留さんが長年開発を進めているという新種のマスカットを見せて頂いたりしました。渡戸は昔、山梨県で家族とぶどう狩りをしたことがありますが、その時は何も考えずに遊びとしてただただ収穫という行為を楽しんでいただけでした。

 

しかし、実際に出荷する商品としての収穫は全く違うものでした。保護カバーの隙間を下から覗き込み、巨峰の色の濃淡を見分けて十分に熟れているか否かの判断をしなければならず、初心者の私たちにとっては大変難しい作業でした。また、開発中のマスカットは信じられないほど甘く、太陽の恵みがギュッと濃縮されていました。他にもぶどうを育てるには6年以上の歳月が必要です。毎年、実の1つ1つに栄養が行き渡る様に間引きをしたり、ツルの健康状態に気を使ったり、保護カバーの色を青にすることで実の日焼けを防いだりと、私たちが普段見るあの姿になるまでには多くの手間がかけられていることを知りました。日常では私たちは見た目の良い食べ物を消費しているだけでしたが、生産者の生活に触れたことでこれからはもっと違う視点を持ちつつ「食」についてより深く考えることができると思いました。体験終了後は、都留さんの娘さんにお見送りしてもらいつつ、国東の風を存分に浴びながら長廣さん宅へ戻りました。

  • 都留さんが取り組んでいる新品種でとても甘くて、さわやかな味。撮影日時: 2017:09:02 10:27:40
  • 前入りした学生三人のぶどう研修をしてくださった都留さんご家族にお礼のご挨拶に訪れ、大学職員も一緒に記念撮影。撮影日時: 2017:09:02 10:27:40