リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2019.01.31
- 国東農業研修
研修旅行後レポート 岡田梨沙(2017年実習-27)
実りの多く刺激的な国東での研修旅行を終え、得たものの多さに何を書こうかと頭を悩ませていましたが、この全体レポートでは『農業研修』と題されている研修旅行で農業について分かったこと、そして私が研修で目標にしていたことについて書いていこうと思います。
国東に行く前の事前学習では、日本の食料事情を学びましたが、それを踏まえ国東で分かったのは、私達は食べているものについてあまりにも知らなすぎるということです。それを最も感じたのはねぎの選別作業の時なのですが、農業の現場では見た目が悪く「売れない(消費者が買ってくれない)」という理由で捨てられるものがとても多いのです。小ねぎの場合だと畑の多くて6割くらいしか実際に売り物になるものはないらしく、他の作物だとさらに少なくなります。捨てられる4割のほとんどが美味しく新鮮に食べられるにも関わらずです。ですが確かに私もスーパーに行ったとき、色がいいもの、新鮮そうなものを選んで買っていることを思い出しました。農家さんも農業で暮らし、作物が売れなければ食べて行けません。こうなってしまうことは仕方がないことではあります。ですが選別作業等の見た目を良くする手間を省くと、時間がかかる作業を無くすことができるのでより速く出荷でき、さらに作業にかかる人件費を押さえられるのでもう少し安く売ることができます。そして消費者は新鮮で安いものが買える。問題等が出てくることもあるのでしょうが、消費者が見た目を気にする理由として「傷んでそう、より新鮮なものが食べたい」ということがあるでしょう。しかし私達は見た目を気にすることで、逆に新鮮な食べ物を食べ損なっているのではないでしょうか。私達は普段の生活で農業の現状を知る機会があまりありません。私も国東の体験に行くことがなければ知らなかったでしょう。色が多少悪くても、安全に食べられるものもあるのだということを知る機会もあまりありません。学校に限らず、世の中全体として都会と地方で連携をはかり、学生から大人向け交流事業をさらに増やし普段買い物をしている層に情報を届かせるくらい互いの相互理解を深められたら良いのにと思います。私達も学園祭で国東味一ねぎのPR活動をするので、そのような一歩になるつもりで一生懸命取り組んでいきます。
私がこの研修に参加した一番の理由は将来の進路の手掛かりを見つけたい、というものだったのですが、この研修ではたくさんの人の生き方を知ることができました。都会から出てきて国東で新しい生き方を模索している人、農業で生きている人、国東の魅力を発信しようとしている人達、主婦から自分のやりたい事を見つけた人と様々な、普段接することのないような方々にお話を聞くことができ、印象深かったのはそれぞれ自分のやっていることに誇りを持っているのをどの方からも感じたことです。今の状況になんとなく流されて生きるのではなく、立ち止まって自分自身に本当にやりたいことなのか、誇れるような事をしているのかと問いかける事はこれからの進路選択に大きく影響しました。
そして、私の学部は日東なのですがやはり自分は日本史が好きなのだと言うことが分かりました。前期の授業があまり思うようにいかず授業がつまらなく感じてしまい、学部変更も考えたりしたのですが、弥生のムラでの体験や三浦梅園記念館で当時の思想を学び、使われていたお屋敷に入ったり、富貴寺や真木大堂に行きお話を聞いている時は本当に心が躍り、実際に現場に行って空気を感じ、ここで何百年も前、こんな人が生きていたのだと想像すると古人と私達との繋がりを感じ感動が沸き上がってきました。日本史の勉強に限らず、知識を本から得る事は確かに大切ですが、それだけで済まさず実際にその場に行き、知識を活かしさらに学ぶことで、本当に学んでいる実感と全てがつながったような感動を得ることができました。これこそ正に大学でやるべき『勉強』なのではないかと思います。
将来どうなりたいかがはっきりと明確になったわけではありませんが、行く前の何もやることがないようなふわふわとした脱力感はなくなり、これからのために歩いていこうとできる地に足の着いたような気持ちになりました。この経験は後期の勉強に活かしつつ、やりたいことを探していきたいと思います。
国東半島は、暖かい人達、本当に美味しい食べ物に綺麗な空気、そして帰ってきた後また行こうとすぐに思えるようなとても素晴らしい場所でした。私達がこうして実りのある旅ができたのも丸橋教授、学生生活課の皆様、そして私達に色々なことを懸命に教えてくださった国東半島の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。