リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2018.07.24

  • 国東農業研修

七島藺の工房と生産場所の見学 乳井(2017年実習-10)

  • 乾燥後、根元のいらない部分であるはかまを取る作業を体験。撮影日時: 2017:09:03 10:55:42
  • 昭和32年1957年、今から60年前の日付が墨で書かれた昔の道具。撮影日時: 2017:09:03 11:15:47

七島藺とは、主に畳の材料となる植物です。畳の材料として最もよく使われているイグサよりも固く丈夫で、色は青みがかっており、断面が三角形という特徴があります。現在、七島藺の生産は大分県のみで、それも10軒を切っているとのことです。私達は生産農家の一人である松原さんの七島藺工房を見学させていただきました。

 

まず、一定の量(20キロほど)を取って束にし、折れたものや小さいものなど材料にならない部分を手作業でたたきつけることによって振り落としていきます。何度も振り回すので、一束きれいにするのも一苦労です。

 

材料に使う部分だけ選別出来たら、次は畳を編むのに適切な太さにするため、また乾燥させやすくするために七島藺を半分に割く作業を行います。七島藺を割くには今と昔の2つの方法があり、その両方を体験しました。

 

1つ目の方法は、機械が導入される前の昔の道具を使います。弦を張り、一本ずつ割いていきます。この道具が使われていた時代は、子供がこれを手伝い、アイスキャンディなどのご褒美をもらっていたということもあったそうです。

 

もう一つの方法では、ほぼ自動で割いてくれる機械を用います。七島藺を機械に添えると一瞬にして半分に割かれ、機械の下にきちんと揃えられて出てきます。手作業よりも大変効率的で、驚きました。この後、巨大な倉庫のような所で10時間ほど乾燥させるそうです。

 

研修がひと段落すると、お芋やにんじんの入った石垣餅を頂きました。シンプルな味なのですがとても美味しかったです。お別れに奥様手作りの馬をデザインした小ぶりの七島藺でできた工芸品を一人一人に記念にいただきました。

 

この後は、七島藺を栽培している畑も見学しました。ここの栽培所は松原さんの若い2人のお弟子さんが借りており、今年初めて収穫するとのことでした。

 

七島藺の栽培もまた、ほとんどが手作業で根気のいる仕事であるということを教えていただきました。特に夏場は、より丈夫な七島藺に育てるため、定期的に一定の長さに刈り取らなければならず、暑い中過酷な作業が続くそうです。更に七島藺が折れないよう、重機などは使わずすべて手作業で行わなくてはなりません。

 

松原さんの作業所でもう一人、5年目になってそろそろ自立も考えているという方がいらっしゃいましたが、やはり後継者不足は深刻な問題だと思いました。七島藺を生産している方々は数えるほどしかおらず、その上生産農家の平均年齢は70代と言われており、今は続けられていても、確実に後世に伝えていくためにはまだ人が足りていないのではないかと思うからです。

 

国東へ行って七島藺で生計を立てたいとまではいきませんが、私も失敗を恐れず、新しいことにチャレンジしたいと色々な場面で思うようになりました。

  • 自動で割く機械が作られ、人手が大幅に軽減。撮影日時: 2017:09:03 11:21:12
  • 地域の伝統的お菓子である石垣餅をいただく。撮影日時: 2017:09:03 11:42:03
  • 綺麗に刈り揃えられた七島藺の田んぼには、倒れないように縦横に紐が張ってある。撮影日時: 2017:09:03 12:08:27
  • 見学を終えて松原さんご夫妻、働いている皆さんと記念撮影。撮影日時: 2017:09:03 11:49:06