リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2018.06.06
- 国東農業研修
「ほろほろ」で初日の夕食 古谷(2017年実習-04)
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メンバーから大好評だった地鶏のたたき。この後一瞬にしてみんなの胃袋に収まるのであった。 撮影日時: 2017:09:01 19:36:43 -
大分県の郷土料理、やせうま。お好みで黒蜜をかけていただく。 撮影日時: 2017:09:01 20:58:57
メンバーそろって初日の夕食は地元の「居楽屋ほろほろ」で大分料理を楽しんだ。国東でとれた魚(カンパチ、タイ、サバ、カツオ)の刺身、甘いタレで刺身を漬け込んだ「りゅうきゅう」、ナスとゴーヤを炒めた「おらんだ」、ぷりぷりで噛みごたえある「地鶏のたたき」、大分名物さくさくふわふわ「とり天」、もちもち具だくさん「団子汁」、その平らな麺を黄な粉で絡めた「やせうま」、そしてメインの「レタスと桜王豚肉のしゃぶしゃぶ」。パンフレットによると、この豚肉は国東市の安岐農場で育てられたSPF豚で、5つの特定病原菌を持たない健康な環境で育てられたとの説明でした。
次々と並ぶ大分グルメに私たちの箸と喜びの悲鳴は止まらない。特に私たちの心をつかんで離さなかったのは「地鶏のたたき」と口の中でとろける絶品「卵焼き」。次々と手が伸びあっという間に完食。「おいしい!」「どうやって作ってるんだろう!?」「もうないの?」など様々な声が飛び交った。どの料理についても同じだが、おいしくてつい手が出る、手が止まらないというのはこういうことをいうのかと体感した。この日頂いたこれらの料理はなんと私たち限定のメニュー。大分にきた私たちのためにたくさんの郷土料理や大分県産物を使った料理を作ってくださった。「おらんだ」はどの家庭でも一般的に食べられている料理のため本来はほろほろのメニューにはないものだそう。しかもほろほろには調理をする方が二人しかいないのだという。この日はもちろん私たち以外のお客さんでにぎわっていた。これにはメンバー全員驚愕した。ほろほろさん、私たちのためにたくさんの温かい料理でもてなしてくださり、本当にありがとうございました。
そしてここで思わぬ出会いが。ふすまが開いたと思ったらそこには一日前に前入りメンバーがお世話になったブドウ農園の都留さんの姿が。なんとこの日、偶然にもほろほろでお手伝いをしていらっしゃったのだ。これには前入りメンバーと丸橋先生も驚き思わぬ再会に大喜び。このような場所でふと知り合いに会うことができる。そんなところもこの国東半島の魅力なのではないだろうか。
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ほろほろで再会することができたブドウ農園の都留さん。帰り際にはがっしりと握手をしてくださった。 撮影日時: 2017:09:01 20:51:43 -
ほろほろは完全個室制。店長の清末さんから人生についてのお話を聞く。 撮影日時: 2017:09:01 21:18:46
食後はほろほろの店長である清末さんに貴重なお時間をいただき、食べ物屋をうまく運営する秘訣や清末さんのこれからの人生計画、信念など様々なお話を伺った。その中で一番印象に残った話はチャレンジする気持ち、やってみようという気持ちが大事だという話だ。ほろほろの店長になって六年。その間に一店舗を閉めているそうだ。話してくださったとき、「作るときはわくわくしますけど、閉めるときは…」と言葉を詰まらせていた。しかしここで大事なことはやるだけやったということだ。やる前からあきらめてやめることとやるだけやってやめることは全然違うことだとおっしゃっていた。やるだけやってだめでも納得することができる。だから自分がやりたいことをやったほうがいい、というお話だった。
私はやる前からあきらめることが多々ある。いつもどうしようかぎりぎりまで迷って結局決めきらずに「うーん、じゃあやらないでいいや。」と結論を出してしまう。しかしそのあとやってみればよかったと後悔しているものが今もたくさん私の中にある。それでもまた何かに挑戦するときやる前からあきらめてしまっていた。しかし、今回清末さんのお話を伺って今まで私はなんてもったいないことをしてきたのだろうと思った。やらないあきらめは私のためにはならないが、やってからのあきらめは「それでもやった」という事実が残り、また自分自身を成長させるものにもなる。今までたくさんの成長するきっかけ、新しいことを始めるきっかけを逃してきたのだと思う。今私の中に残っている数々のやらなかった後悔が納得出るものならどんなに良かっただろうか。
奇跡的に、といったらおかしいかもしれないが実は今回の国東半島農業研修、一度あきらめた後で「やっぱり挑戦しよう」と決意することができた。今回のこの一歩と清末さんのお話を忘れずにこれからはチャレンジする気持ちを大切にしていこうと強く誓った。
現在ほろほろの二代目店長である清末さんは自らの信念や挑戦の気持ちで店を現在の形にしていったのだと思う。お客さんの需要に常に耳を傾け実行し、食材の現場にも自ら足を運ぶ清末さんだからこそ多くのお客さんから愛されるお店になったのではないだろうか。そんな清末さんは自分の意思に賛同してくださる方にそろそろ今の位置を継いでもらい、第一線を退くことを考えているそうだ。新たなチャレンジに向かっていく清末さんの人生と新生ほろほろの行く末が気になる。
もう一度とはいわず、何度でも訪れたくなるようなあたたかなお店、「居楽屋ほろほろ」。また食べに行きます!!こうして私たちはおいしいごはんと清末さんのお話しで身も心も満たされてほろほろを出発、寝床となる公民館に戻っていくのであった。