リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2018.05.14
- 国東農業研修
里の駅むさし店長藤原さん講話 平野 (2017年実習-01 )
9月1日金曜日、10時に大分空港に着いたそのままの足で、私たちは空港のすぐ近くにある「里の駅むさし」を訪問しました。むさしの中は、なんだかあったかい雰囲気でした。店内には地元でとれた野菜や加工食品の並ぶ直売所とレストランがありました。その後、お店の裏側にある作業場にて、むさしの店長である藤原さんのお話を聞かせていただきました。
まず初めに、里の駅むさしの概要についてのハンドアウトを藤原さんがくださりました。藤原さんは店長として就任してから様々な取り組みに着手していました。現在の会員は230名いるそうで、それをまとめ上げるのは本当に大変なことだと感じたのと同時に大きな影響を地域に与えているのだと思いました。まず今動いているプロジェクトについて教えて頂きました。
それは来年迎える六郷満山開山1300年に向けて観光として成功させるため開発した、レストランの期間限定メニューでした。そのメニューは、団子汁と地元でとれたトマトが入ったトマトスープと「眠気覚ましのもち」と呼ばれる六郷満山で行われる儀式の際に食べられるもちについている辛いみそが入っているおにぎりの3つでした。藤原さんは、このメニュー開発によって、地域の物語を食文化を通じて知ってほしいという思いがあるそうです。そして、期間限定メニューに加えてむさしの建物の後ろにあるトマト畑でのトマト狩りと国東市にあるイタリアン料理店のシェフによるイタリアン料理教室を開くとのことでした。なぜイタリアンなのかというと、武蔵町では今、トマト栽培とオリーブ栽培が注目されているからだそうです。
藤原さんは次に、どうして直売所にこだわるのかということについて語ってくださいました。それは、高齢化する農業を続けさせてあげて、地域を盛り上げ、農家の方と自身の野菜が商品となって陳列されている喜びを分かち合いたいという思いからでした。更に、西日本最大規模の鯛の漁獲量を誇る国東の漁師さんに話を持ちかけ、今まで県外への輸出が主だったのを、地元に卸してもらうことにして、加工食品として地元に売り出すことに成功しました。ちなみに、鯛の漁獲量の多さを地元の人たちは知らなかったらしいです。そのため、里の駅むさしで売り出したことによって地元での知名度が上がったことで、漁師さんは喜んでいたそうです。
それに加えて、農業の面では2013年から新規就農者研修体制を整え、今年から野菜学校を開校していました。藤原さんは、会員に向けて常に呼びかけていることがあるとおっしゃっていて、それは野菜の生産者として自分の野菜の味やクオリティを認識することが大切だということでした。そのためには自分の作った野菜と他の人が作った同じ品種のものと食べ比べてみることを勧めておられました。藤原さんいわく、むさしの現状の課題は、農業担い手不足、生産量の減少、地域産業の衰退化で、それらの解決に向けた取り組みとしては、農業の担い手の確保、法人による作業受託、販売先の確保、生産者所得アップがあげられていました。
最後に、藤原さんは周りの期待にこたえていくことに自身もワクワクしながら常に動いているとおっしゃっていました。藤原さんは、この国東の環境を「山と海の社会性」と呼び、それを活性化させることにやりがいを感じると語っていました。限りないエネルギーを注ぐ藤原さんの姿勢は、地元を美化することなく、課題も素敵な今も含めありのままに語ることのできるかっこいいものでした。
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こどもピーマンと名付けられた、ピーマン臭さが全くない新しい品種を試食させてもらった。撮影日時: 2017:09:01 11:47:23 -
藤原さんの新しい考え方と方針で開発された農産品と海産物の新商品。撮影日時: 2017:09:01 11:43:03
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里の駅むさしで販売されている農作物の特性や生産者の思いや作物の特色を聞きながら、お店を案内してくださる藤原さん。撮影日時: 2017:09:01 11:45:39 -
里の駅むさしで店の経営方針や農業の現状のお話を聞いた後、藤原さんと記念撮影。撮影日時: 2017:09:01 11:55:46