リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2017.06.16
- 国東農業研修
2016年国東研修(10)食体験

研修2日目、9月2日の午後。長廣さん夫妻を講師とし、地元で取れた食材を使い料理し食べる、食体験を行った。どれも感動するほどおいしかった。
うどん

長廣さんが少年だったころ、学校から帰ると母に「うどんを作りなさい」と言われ、ほぼ毎日うどんを打ったという。これを聞いてはじめ、「そんな大変なことを、毎日、小学生がしていたのか」ととても驚いた。しかし、長廣さんが作っていたうどんは、私が想像した、うってのばして寝かせて、と何時間も要するようなものではない。10人以上の大家族の食事を手早くまかなうための、慣れてしまえば30分で打てる簡単なうどんだった。

粉は、長廣さんの畑で採れた小麦の粉を使う。初めに粉をよく手で混ぜる。素早く作業しなければいけないことは理解していたが、粉はとても滑らかで柔らかく、しっとりしていて、ずっと触っていたいほど気持ちよかった。そして水加減を調整しながら少しずつ入れ、ひたすらこねる。この作業がなかなか大変で、両手を使い、力を入れてこねるのだが、こねるにつれて生地がどんどん固く重くなっていく。みんなで交替しながらこねた。誰かにボウルを抑えてもらったほうがこねやすく、とてもじゃないが一人でできる作業ではないと思った。松澤さんがとてもうまくこねているのを見て思わず感嘆してしまった。
生地がひとまとまりになると、人数分に等分し、機械の後ろの方で平たく滑らかになるまで4、5回伸ばす。そして、前の方で製麺する。機械は、二つのローラーで生地をプレスし一定の厚さに成形する部分と、いくつかの溝があるローラーで製麺する部分に分かれている。ハンドルが一つだけついていて、歯車を組み替えることで、一台で二つの作業を行えるようになっている。シンプルな構造だが大変便利な機械だ。そこまで大きくはないので場所も取らない。製麺したうどんを、塩を入れた湯で茹で、笊にあけて完成だ。素人の私たちが作っても一時間かからなかった。出来立てのうどんを、シンプルにおつゆで試食した。柔らかくない、こしのあるとてもおいしいうどんだった。
魚捌き

うどんを作った後、漁師さんから魚が届いた。とても立派な魚で、まな板に乗り切らないほど大きなものもいた。鱗をはぐ作業を交替でさせてもらえた。テレビ番組で魚をさばくシーンを見ると、いとも簡単に鱗をはいでいたのでとても甘く見ていたが、鱗はとてもしっかりとくっついていてなかなか剥がすことができなかった。魚の表面もぬるぬると滑り、軍手をしていてもつかみづらい。ところが、お手本は素手で、一人で、小気味よくばりばりと剥いでしまう。何度かやるうちに、力を入れてもそんなにすぐに魚の皮が破けることはないと学習し、だんだんばりばりと剥げるようになっていった。大変だったが、鱗がキラキラ剥げ飛んでゆくのはとても気持ちがよかった。

その後は時間の関係と、魚があまりに大きかったので、魚をさばいているところを見学させてもらった。ところが、大きな魚は骨も頑丈で、普通の包丁では文字通り刃が立たない。助っ人に来てくださっていた方は、金槌で包丁をたたいて頭を落としていた。おろすのもまた一苦労で、うまく腹を開けず内臓を破ってしまった。本当は破かずきれいに開かなければいけないという。鯛が一匹届いていたので、そちらは最初から最後まで捌くところを見学させていただいたが、内臓を破くことなく、とても鮮やかに素早く捌くので思わず拍手をしたくなった。また、最初の魚を見た後には鯛はずいぶん小さく見えた。
最初の魚を捌いた際アラがかなり出てしまい、どうしようと少し話し合った。長廣さんの家族の、柴犬のクロさんにあげようという話も出た。結局捨てようということになった時、私たちの様子を見にいらしていた市役所の職員・越名さんが勿体ないといい、お持ち帰りになった。ゴミが出ずに済み、なんだかほっとしてしまった。魚は後日、長廣さんの奥様が調理してくださり、みんなでおいしくいただいた。
牛乳豆腐
次に牛乳豆腐を作った。材料は実にシンプルで、生乳と酢のみ。鍋に生乳を入れ、沸騰したら酢を少し加え、すぐに目の細かい笊にあけて終了。酢を入れた瞬間に乳脂肪分が分離するので、煮立たせる必要は全くない。生乳がない場合は牛乳でも構わないのだが、その場合乳脂肪分が生乳より少なく小さな粒になってしまうので、さらしなどを笊にひいてこすとよいらしい。豆腐と名がつくが、味はカッテージチーズのようで、さっぱりしているが濃厚でとても不思議な感じだ。触感も何とも言えず、ちょっと水分の少ないそぼろ感のある高野豆腐みたいだと思った。前入りした際の夜ご飯に煮付けた牛乳豆腐をいただいたが、とてもおいしく、和食に意外によく合った。
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酪農家からいただいた牛乳を沸かして酢を加えると固まる。撮影日時: 2016:09:02 15:45:24 -
熱々の牛乳豆腐を早速味わおうと、いくつものスプーンが。撮影日時: 2016:09:02 15:47:44
餅つき

餅はヨモギ餅とヨモギ大福の二種類を作った。まずは餅つき。石臼と杵を使い、炊いたもち米を実際について作る。いきなりぺったんぺったんとつくのではなく、杵でもち米をするようにしてつぶし、ある程度粒をなくしてからつき始める。杵はとても重く、職人さんのように素早くつくことはとても難しく、彼らの半分のスピードでもつけなかった。餅は素早くつかなくては美味しくなくなってしまうので焦った。最後は長廣さんがついてくださったが、私たちよりも遥かに上手についていた。しかし、体力を要する仕事なので、正月などの特別な行事があるとき以外はあまりつかないそうだ。

ヨモギは春にとれたものを塩茹でし、細かく撹拌して冷凍保存しておいたものを使った。餅に混ぜる前に匂いをかがせてもらえたが、とてつもなく良い匂いがした。匂い袋にして枕のそばに置いておきたいと思った。思ったよりも色は淡かった。つきあがったヨモギ餅を今度は大福にする。炊いておいてくださった餡子を包むのだが、これが難しく、餅の中央に餡子を包むことがなかなかできない。お手本に何度か実演してくださったのだが、それは簡単そうに見えてしまう。餅の塊の一部を適当な大きさに伸ばし、餡子を置き、包んだら親指と人差し指でねじ切るようにちぎりとり、餡子が中心に来るように上手に丸め、少しだけつぶして整える。餅はとても、ふわふわで、もちもちしていて気持ちがよかった。何回かするとコツがつかめるようになり、大福をきれいに作れるようになっていった。
ヨモギは春にとれたものを塩茹でし、細かく撹拌して冷凍保存しておいたものを使った。餅に混ぜる前に匂いをかがせてもらえたが、とてつもなく良い匂いがした。匂い袋にして枕のそばに置いておきたいと思った。思ったよりも色は淡かった。つきあがったヨモギ餅を今度は大福にする。炊いておいてくださった餡子を包むのだが、これが難しく、餅の中央に餡子を包むことがなかなかできない。お手本に何度か実演してくださったのだが、それは簡単そうに見えてしまう。餅の塊の一部を適当な大きさに伸ばし、餡子を置き、包んだら親指と人差し指でねじ切るようにちぎりとり、餡子が中心に来るように上手に丸め、少しだけつぶして整える。餅はとても、ふわふわで、もちもちしていて気持ちがよかった。何回かするとコツがつかめるようになり、大福をきれいに作れるようになっていった。
出来上がったばかりの大福をさっそく試食した。本当に頬が落ちるかと思うくらいおいしかった。もちもちしながらも歯切れがよい餅、ヨモギのさわやかな独特な芳香が口いっぱいに広がり、餡子の甘さもちょうどよく(個人的な話だが、粒餡が好きなのでとても幸せだった)、この後にバーベキューをする予定がなかったのなら10個は食べてしまいそうだった。餡子の入っていないシンプルなヨモギ餅も食べさせてもらったのだが、ヨモギの味と餅の触感をより直接感じることができ、とてもおいしかった。
出来上がったばかりの大福をさっそく試食した。本当に頬が落ちるかと思うくらいおいしかった。もちもちしながらも歯切れがよい餅、ヨモギのさわやかな独特な芳香が口いっぱいに広がり、餡子の甘さもちょうどよく(個人的な話だが、粒餡が好きなのでとても幸せだった)、この後にバーベキューをする予定がなかったのなら10個は食べてしまいそうだった。餡子の入っていないシンプルなヨモギ餅も食べさせてもらったのだが、ヨモギの味と餅の触感をより直接感じることができ、とてもおいしかった。
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搗きあがった草餅。撮影日時: 2016:09:02 16:12:34 -
指導を受けながら、あんこを真ん中に入れる作業は結構難しいが、餅の肌触りを楽しむ。撮影日時: 2016:09:02 16:21:08
ネギ餃子

残念ながら、時間の都合でここまで作ることができず、お風呂に向かうことになった。しかし、木下さんと松澤さんが志願し、二人はネギ餃子を作ることになった。二人が作ったネギ餃子はバーベキューに登場し、食べることができた。肉だねに、刻んだ長廣さんのネギをたくさん入れ、皮で包んで揚げたものだった。揚げ餃子を、私は初めて食べたのだが、揚げ物が苦手な私も二個三個と手が伸びてしまうほどおいしかった。そこまで脂っぽさはなかった。
以上が、私達が体験したメニューだ。作る前からとてもわくわくしていたが、想像したよりもはるかに楽しく、また学ぶことも多かった。長廣さんのうどんの話はとても興味深く、勉強よりうどん作りを優先させた話や、家に帰ってきてまずうどんを作るということは新鮮だった。まったく寝かせず作ったうどんは、こしと噛み応えがあり、とてもおいしかった。

一番感動したのはヨモギ餅だ。もともと、私はヨモギ餅がとても好きなので、前年度のレポートを見てからずっと楽しみにしていた。作りたてのヨモギ餅は本当においしかったので、これなら300円を超えていても買うと思った。食体験でお世話になった長廣さん夫妻と、助太刀に来てくださった女性に、厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。