リベラルアーツ&サイエンス教育ブログ

2016.02.06
- 武蔵One Point自然観察
花外蜜腺
植物にとって葉は光合成をする最も重要な器官ですから、虫に食われては大損害です。葉の防衛は植物にとって最重要事項なのです。その戦略の一つが花外蜜腺です。植物は繁殖のために花を咲かせ、花粉を媒介する生物へ報酬として蜜を与えるのは良く知られた関係です。この蜜を作る能力を別の方法へと転化したのが花外蜜腺です。
アリは虫の幼虫などを積極的に探索していますし、甘い、蜜も探しています。アブラムシの甘露がアリを惹きつけるように、この蜜腺もアリを惹きつけます。こうして、アリに葉の周りをパトロールさせ、報酬を少し与えるの機能があるのです。万能のガードマンを雇っているのです。
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桜には蜜腺が葉柄についています。 (撮影日時: 2015:05:03 16:31:40) -
桜の花外蜜腺にアリが近づいています。 (撮影日時: 2015:05:03 16:32:20) -
桜の花外蜜腺の付く位置には色んなタイプがあります。 (撮影日時: 2015:05:03 15:54:03)
学内で身近に観察できるのは桜とイイギリです。春私たちを楽しませてくれる桜にはこんな秘密があることを、ぜひ間近に観察して、生命の不思議に触れてください。後、二ヶ月もすると桜が満開となりますから、桜の葉をよく観察してみてください。使っているのは昨年の春の写真です。
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イイギリの葉柄にも花外蜜腺があります。 (撮影日時: 2015:05:03 16:10:04) -
イイギリはハート型の葉ととても長い赤っぽい葉柄が特徴です。 (撮影日時: 2015:05:03 16:10:18)